» 2008 » 8 月 » 28のブログ記事

妊娠は病気というわけではありませんが、食事の面で気をつけることがたくさんあったり、制限されることがあったり、体の変化から思うように体が動かなかったり、そういった状況でストレスも大きくなります。

たばこなどは厳禁ですが(受動喫煙も含む)、コーヒーやお茶などは、「飲んではいけないもの」ではなく、「たくさん摂ってはいけないもの」ですので、コーヒーを1日1杯飲むとか、食後にお茶を楽しむ程度であれば、それほど問題はないでしょう。

あまり神経質になりすぎると、余計にストレスがたまりますし、そういった状況は、母体にも子どもにも良くありません。
妊娠期間中は、出産準備期間でもありますので、出産に備えて、できるだけ心を穏やかに過ごして、元気な赤ちゃんを産んでもらえたらと思います。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降、分娩後20週まで高血圧がみられるもの、または高血圧に尿蛋白を伴うものを言います。
妊婦の約10%が発症し、早産や死産など子どもに影響を与えるだけでなく、妊婦の死亡原因の1位にもなっています。

妊娠高血圧症候群を予防し、健康的な妊娠期間を過ごすためには、次にあげることがポイントです。

①胎児の発育と母体の健康維持に必要なたんぱく質、特に大豆製品や魚介類などをしっかり摂る。
なかでも黒豆は良質なたんぱく源というだけでなく、ビタミンB群が豊富で、利尿作用もあるためむくみの防止にも効果があり、流産を防ぐ食べ物とされています。

②たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6を一緒にとる。不足すると妊娠高血圧症候群を助長する。

③脂質(特に動物性脂質とω-6系脂肪酸、トランス脂肪酸、過酸化脂質)、精製炭水化物のとりすぎには注意し、適正な体重コントロールを心がける(太りすぎには注意)

④妊娠時は、子宮が腸を圧迫して便秘になりやすいので、食物繊維や乳酸菌をしっかりとる。

⑤妊娠中は血液の量が増えるほか、胎盤を作るうえで鉄が大切な栄養素となるため、鉄分をしっかりとる。豆類、貝類、海藻類などに多い。植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」は、ビタミンCと一緒にとると吸収に優れる。

⑥適度な運動を心がける。

⑦休息・睡眠をしっかりとる。

⑧水分をしっかりとる(むくみがひどい場合だけ制限する)

⑨血圧を下げるカリウムとマグネシウムをとる(カリウムには利尿作用もあるのでむくみ防止にもなる)

⑩子癇(けいれん)発症を防止するため、マグネシウムをとる。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

妊娠中は、つわりや妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)に気をつける必要があります。
つわりが起こる原因はまだはっきりとわかっていませんが、有力な説として「妊娠によって胎盤の絨毛細胞から大量に分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンに妊婦の体が対応できない」からだと言われています。
漢方の考え方では胃に熱がこもっていると考えることはあります。
そういったことから、つわりの時には冷たいものを食べることが勧められています。(取り過ぎは注意です)

空腹になると、つわりの症状がひどくなりますので、できるだけ空腹の状態にしないよう、いつでも何か口に入れられる状況をつくっておくと良いようです。
この時期は、食べたいときに、食べられる物を、少しずつ食べると良いようです。「無理にでも食べないと赤ちゃんに栄養がいかない」と心配されると思いますが、つわりが終わった後にしっかり食事を摂れば十分です。

ちなにみ、妊娠中にはまる食べ物は、トマトや果物類が多いようです。意外にもフライドポテトやポテトチップスなどもつわり中に食べたくなるそうですが、こういったモノは赤ちゃんのためにも控えるべきでしょう。
また、炭酸飲料を飲むと吐き気が治まることが知られていますが、糖分が多いので、炭酸水を利用するとよいかと思います。

栄養面では、ビタミンB6には嘔吐を抑える効果があります。
玄米や豆類、青魚などに多く含まれていますが、この時期に口にできそうなもの、例えば、バナナやサプリメントなどを利用するのも良いでしょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

妊娠中は胎児に栄養がまわるために、ほとんどの栄養素において必要量が増えます。
食事で全て摂ることは難しいので、サプリメントをうまく利用するのも1つの手段です。

しかし、ビタミンAやビタミンDなどの脂溶性ビタミン、セレンなどのミネラルに関しては、過剰摂取にならないように注意する必要があります。
(※ビタミンAはβ-カロテンとして摂取するなら問題はありません) 

サプリメントを妊娠中に摂ることに問題はありませんが、質と量に気をつけましょう。

添加物が含まれていないもの、吸収性に優れているものを選ぶことも大切です。

       ~薬剤師 鳥居英勝~