妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降、分娩後20週まで高血圧がみられるもの、または高血圧に尿蛋白を伴うものを言います。
妊婦の約10%が発症し、早産や死産など子どもに影響を与えるだけでなく、妊婦の死亡原因の1位にもなっています。

妊娠高血圧症候群を予防し、健康的な妊娠期間を過ごすためには、次にあげることがポイントです。

①胎児の発育と母体の健康維持に必要なたんぱく質、特に大豆製品や魚介類などをしっかり摂る。
なかでも黒豆は良質なたんぱく源というだけでなく、ビタミンB群が豊富で、利尿作用もあるためむくみの防止にも効果があり、流産を防ぐ食べ物とされています。

②たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6を一緒にとる。不足すると妊娠高血圧症候群を助長する。

③脂質(特に動物性脂質とω-6系脂肪酸、トランス脂肪酸、過酸化脂質)、精製炭水化物のとりすぎには注意し、適正な体重コントロールを心がける(太りすぎには注意)

④妊娠時は、子宮が腸を圧迫して便秘になりやすいので、食物繊維や乳酸菌をしっかりとる。

⑤妊娠中は血液の量が増えるほか、胎盤を作るうえで鉄が大切な栄養素となるため、鉄分をしっかりとる。豆類、貝類、海藻類などに多い。植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」は、ビタミンCと一緒にとると吸収に優れる。

⑥適度な運動を心がける。

⑦休息・睡眠をしっかりとる。

⑧水分をしっかりとる(むくみがひどい場合だけ制限する)

⑨血圧を下げるカリウムとマグネシウムをとる(カリウムには利尿作用もあるのでむくみ防止にもなる)

⑩子癇(けいれん)発症を防止するため、マグネシウムをとる。

       ~薬剤師 鳥居英勝~