コロナウィルスによる横浜港のクルーズ船問題。

ウィルス拡散のリスクと合わせて、乗客の治療薬不足が問題になっています。

すべての方が、まさか14日間も船内に足止めされるとは考えていなかったでしょう。予定通り家に帰ることが出来ることを考えて、お薬はせいぜい数日分余計に用意していた程度だと思います。

14日という期間で思い出すのが、東日本大震災の後のこと。このときは、薬の流通がおおむね正常に戻るのに、14日間位かかりました。

台風、水害、地震など、今や日本のどこでいつどんな災害があってもおかしくありません。私は、何かあった時の備えとして、慢性疾患で継続して服用しているお薬については、14日分位のストックはしておいた方が良いと思っています。

社会保障費の問題で残薬は減らしましょうという国の方針には沿う必要があります。ただ、セルフメディケーションというからには自分の身は自分で守らないといけません。そこで、慢性疾患で、病状が安定していて、処方が固まっているような場合には、ある程度の手持ち薬をストックすることが推奨されるべきだと思っています。

~薬剤師 鳥居英勝~

使い捨て紙マスクだけではなく、ガーゼマスクも入荷しにくくなりました。3日前のブログに紙マスクの代用に使う方法を載せたときにはまだ流通していたのですが・・・。

でも、ガーゼマスクは自分で作ることが出来ます。衛生剤として市販されているガーゼを使って、大きさを整えて24枚重ねにして、両わきを止めればとりあえずOKです。昭和12年生まれの父によると、戦時中はこのようにしてマスクを自分で作らされたとのこと。

もう一つ欠品騒ぎになっているのが、空間に噴霧するタイプの除菌剤です。

これも、代用になるものを作ることが一応可能です。次亜塩素酸ナトリウム系の空間噴霧除菌製品の溶液は、次亜塩素酸ナトリウムが主成分で、有効塩素濃度は200ppmです。ピューラックスを300倍に薄めると、主成分が同じ濃度になります。この薄めたものをスプレー容器に詰めてスプレーすれば、同じ役割を果たしてくれます。

ただ、ピューラックスの本体には、「噴霧に使ってはいけない」と記されています。ピューラックスは医薬品なので、定められた用法以外には使わないことが原則。ですので、あくまでも同じ成分・同じ濃度の溶液を作るための情報として認識なさって下さい。

ちなみに、市販されている空間噴霧除菌製品には食品添加物扱いの次亜塩素酸ナトリウムが使われています。食品添加物扱いであれば、空間噴霧に使っても良いということになっています。

~薬剤師 鳥居英勝~

エタノール系の手指消毒剤も、流通があやしくなってきました。

ポンプ式で、揉み込んでいくと早く乾いて便利なジェル状のものです。

代用として、消毒用エタノールを使うのも一つの手です。

空いた容器や、100円ショップに売っているスプレー容器に入れ替えれば、同じように使うことが出来ます。

グリセリンを適当に混ぜると、使用感がしっとりして、手荒れしにくくなります。

消毒用エタノールとグリセリンは、今のところ問題なく流通しています。

※このようなものがあってもなくても、手洗いを徹底することは大切です。

~薬剤師 鳥居英勝~

使い捨てマスクが入荷がする見通しが立ちません。

現在日本国内のマスク工場はフル稼働しており順次出荷しているそうですが、これだけでは十分に行き渡らせることはできないようです。また、中国産も、まずは国内向けに出荷するでしょうし、日本に輸出しようとしても色々な理由でストップがかかっているとのこと。

日本でも、新型コロナウィルスはもちろん、インフルエンザや花粉症対策でマスクは必須。

そこで、使い捨てマスクの代替になる方法として、ガーゼマスクを使ってはどうでしょうか?

内側にキッチンペーパーを何重にか折って挟んでおいて、汚れたらそれだけ取り換えれば内側はきれいに保つことができます。

また、インフルエンザウィルスはアルコールで壊れるので、マスクの外側をアルコールでスプレーして消毒すればウィルス対策にもなりそうです。

2枚用意しておいて、1日毎に洗って使えば、毎日衛生的に使うことができます。

~薬剤師 鳥居英勝~

「殺虫剤と医療系消毒剤(エタノールとヨウ素)を使用する父親の子供は、男の子が少ない。」という興味深い文献を目にしました。

長い文献なのですが、結論として次のように締めています。

父方の殺虫剤と医療系消毒剤への職業的暴露は、男性の子孫の割合を低下させることを示唆している。この関連性は殺虫剤で特に強かった。このメカニズムを評価するには、さらなる研究が必要。特に、精液の質の低さと生殖ホルモンおよび甲状腺ホルモンのレベルとの関連性については調査が必要。

・・・このことは、統計的な事実として知っておくと良いかもしれません。ちなみに、仕事柄私は20年以上毎日のように消毒にエタノールを使っていますが、2男1女に恵まれています。

~薬剤師 鳥居英勝~

今朝の日本テレビの番組で、男性不妊症について取り上げられていました。

今は4人に1人にその可能性があるとのこと。男性の精子の数は、以前に比べて明らかに少なくなっているそうです。

精子の数が少ない、精子の運動率が悪い、精子の奇形率が高いなど、精子に問題があって授かりにくいことは良くあります。

精液検査に問題があってもなくても、授精・着床しやすくするためには、「精子の質」を向上させることがとても大切です。

そのための内側からのケアーとして、漢方薬・亜鉛・代謝を良くしたり抗酸化作用のあるサプリメントが効を奏します。

逆に、精子の質を悪くする要因に、陰部の温め過ぎと圧迫、身体の中の酸化などが知られています。

生活では、サウナで温まり過ぎない、デスクワークで座りっぱなしの場合は途中で身体をほぐす、脂っぽいものやお酒はほどほどにすると良いようです。

子宝のためには、ご夫婦一緒に身体を調えることが大切です。

~薬剤師 鳥居英勝~

子供からもらったのか、先日お腹の風邪にかかってしまいました。症状は、便が出渋る感じ。そこで、かなりひどい便秘でも楽になるよと聞いていた方法を試してみました。

それは、朝起きてお腹が空っぽのときに、酵素飲料を飲むというもの。乳酸菌とオリゴ糖が生きたまま腸まで届いて、腸内環境が良くなるという説明で、理にかなっていると感じていました。寒い時期でもあり、お腹を温めようと温かくしてのんでみました。

するとその日から、形の良い便が、ヌルッと出るようになりました。色も薄茶色で理想的に。

うんちの色は腸内細菌のバロメーターになります。善玉菌が多いとうんちは黄色っぽく、悪玉菌が多いと黒っぽくなります。ちなみに、善玉菌が増えている状況では腸内は酸性に傾き、悪玉菌が増えている状況ではアルカリ性に傾いています。

肉ばかり食べていると、うんちは黒くなっておならは臭くなります。こういうときは、発酵食品やオリゴ糖・食物繊維を多く摂ると、善玉菌が増えて、うんちは茶色っぽくなりおならは臭わなくなってきます。

理想的なうんちは、薄茶色~黄色。この状態であれば、腸内免疫も良好で風邪も引きにくいはずです。便の色は、健康のバロメーターにもなります。

~薬剤師 鳥居英勝~

味が苦い、粉が飲みにくい、顆粒が口の中にザラザラして嫌など、漢方薬が飲みにくいのにはいくつか理由があると思います。

でも、たいていの場合、飲み方を工夫すれば飲めてしまうものです。いくつか方法をご紹介します。

〇オブラートを使う〇お湯に溶かす〇お湯に溶かしてハチミツを入れる〇はちみつやヤクルト、ヨーグルトなどと合わせる〇お薬服用ゼリーを使う〇カプセルに充填する

それぞれ、一長一短あると思いますが、きっとご自身に合った飲み方があると思います。

苦くて飲みにくい抗生剤を赤ちゃんに飲ませる時には、少量の水で錬って硬めのペースト状にして、上あごに塗り付けるという方法と取りますが、漢方薬でもこの飲み方は活かせるかもしれません。

そういえば、学生の頃実習で正露丸を造ったことがあります。生薬の粉に粘ちょう性のある液状のものを混ぜて練りこんでいって、最後に木製の器具を使ってゴロゴロさせて丸剤を造り出すという製法でした。

苦い、粉の漢方薬も、丸剤になってしまえばかなり飲みやすくなります。そこで、かなり苦めの散剤の漢方薬に、台所にあった黒蜜を合わせてかき混ぜて練ってみました。形成するときにひっつかないように、きな粉を入れて指で丸めると、予定通り柔らかい丸剤になりました。実習で造ったように硬くはなりませんでしたが、形にはなるので、飲んでみたらかなり飲みやすかったです。

黒糖きな粉風味で美味しそうだったので、試しにかんで食べてみると、黒蜜ときな粉の風味でとても美味しくなっていました。この方法なら、どんな苦い漢方薬でも、団子状にして丸めて食べてしまう感じで、美味しく飲めてしまいそうです。

ひと手間かかりますが、漢方薬が苦手な方は、試してみるときっと気持ちよく飲むことができますよ。

【飲みにくい漢方薬をおいしく飲む方法】顆粒・細粒・散剤の漢方薬に黒蜜を入れて良く練る⇒きな粉を入れて軽く混ぜ合わせる⇒指で適当な大きさに丸める⇒ぬるま湯で飲み込む、または食べるようにして飲む。

~薬剤師 鳥居英勝~

今月ももう月末。水害、即位礼正殿の儀、大変なことおめでたいこと色々なことがあって、10月はあっという間に過ぎてしまいました。

あと3日で11月、気付けば受験シーズンです。

受験と言えば、小さい頃はよく「頭が良くなる薬はないの?」と友達から聞かれたものです。薬屋の倅の宿命です。

そんなものあるわけないよな~とその頃は思っていました。が、今は状況が違います。

良質のイチョウ葉エキスは、脳の血流を良くして頭を活性化させることが分かっています。

生薬の遠志は、中年期以降の記憶力の改善で効能を取っています。

レイヨウカク・ジンコウ・オンジ配合の漢方製剤は、脳のシナプスの伸展を良くして脳の働きを良くすることが分かっています。

どれも、自分が学生の頃に分かっていれば飲みたかったな~と思うものばかりです。

受験生にとっては、大事な時期に風邪を引かないことも大切です。

バンランコンは、飲んだりうがいに使うことで、インフルエンザの予防に良いことが分かっています。当店では、キャラメル風味で飲みやすいエキス製剤が人気です。

このバンランコン製剤には、のど飴もあります。喉が乾燥すると菌やウィルスに感染しやすくなりますが、バンランコンのど飴はイチゴ味で甘酸っぱいので、唾液が出て喉を乾燥させないことにも役立ちます。

どれも、受験生の強い味方です。

~薬剤師 鳥居英勝~

浸水した後の消毒用にと、鹿沼市では消石灰が支給されています。その消石灰の袋には、肥料と書いてあります。消石灰がなぜ消毒に良いのか、そして肥料になるのか、子供に教えたいと思い調べてみました。

石灰と名の付くものには、ポピュラーなところで、「消石灰=水酸化カルシウム」「生石灰=酸化カルシウム」「石灰石=炭酸カルシウム」があります。

これらの関係性は・・・

石灰石・・・これを強烈に加熱すると二酸化炭素が抜けて⇒生石灰・・・これが水と反応すると激しく反応して熱を出しながら⇒消石灰・・・これが二酸化炭素と反応すると⇒生石灰。このようになります。

子供の頃小学校の理科で、石灰の粉を水に溶かして息を吹き込むと白く濁るという実験をしたのを覚えています。それは、太字の反応だったんですね。

では、消石灰がなぜ消毒と肥料になるかということですが、その理由は消石灰の強アルカリ性にあるようです。

消石灰は、水に溶けるとその水溶液は強いアルカリ性になります。

河川が氾濫すると普段はそこにないような菌が泥に交じって入り込んできて、レジオネラやレプトスピラなど、普段あまり気にすることがない菌に対しても注意が必要になります。多くの菌は、強い酸性やアルカリ性の条件下では増殖することが出来ません。そこで消石灰を撒くと、土壌がアルカリ化して、それらの菌をやっつけたり、菌がすみにくく増殖しにくくなって、消毒になるようです。

またどうして消石灰が肥料になるかというと、多くの作物は中性から弱アルカリ性を好むそうですが、消石灰を適量撒くと、土壌は適度にアルカリ化して、作物が生育しやすいように改良されるからということです。

消石灰が菌からの感染防止にも肥料にもなるのは、こういうメカニズムだったんですね。

ちなみに、学校の校庭に引くラインにも以前は消石灰が使われていたそうですが、目に入ったり吸い込むと危険なので、現在は使われなくなったそうです。今は、もっぱら炭酸カルシウムなどが使われているようです。

~薬剤師 鳥居英勝~