浸水した後の消毒用にと、鹿沼市では消石灰が支給されています。その消石灰の袋には、肥料と書いてあります。消石灰がなぜ消毒に良いのか、そして肥料になるのか、子供に教えたいと思い調べてみました。

石灰と名の付くものには、ポピュラーなところで、「消石灰=水酸化カルシウム」「生石灰=酸化カルシウム」「石灰石=炭酸カルシウム」があります。

これらの関係性は・・・

石灰石・・・これを強烈に加熱すると二酸化炭素が抜けて⇒生石灰・・・これが水と反応すると激しく反応して熱を出しながら⇒消石灰・・・これが二酸化炭素と反応すると⇒生石灰。このようになります。

子供の頃小学校の理科で、石灰の粉を水に溶かして息を吹き込むと白く濁るという実験をしたのを覚えています。それは、太字の反応だったんですね。

では、消石灰がなぜ消毒と肥料になるかということですが、その理由は消石灰の強アルカリ性にあるようです。

消石灰は、水に溶けるとその水溶液は強いアルカリ性になります。

河川が氾濫すると普段はそこにないような菌が泥に交じって入り込んできて、レジオネラやレプトスピラなど、普段あまり気にすることがない菌に対しても注意が必要になります。多くの菌は、強い酸性やアルカリ性の条件下では増殖することが出来ません。そこで消石灰を撒くと、土壌がアルカリ化して、それらの菌をやっつけたり、菌がすみにくく増殖しにくくなって、消毒になるようです。

またどうして消石灰が肥料になるかというと、多くの作物は中性から弱アルカリ性を好むそうですが、消石灰を適量撒くと、土壌は適度にアルカリ化して、作物が生育しやすいように改良されるからということです。

消石灰が菌からの感染防止にも肥料にもなるのは、こういうメカニズムだったんですね。

ちなみに、学校の校庭に引くラインにも以前は消石灰が使われていたそうですが、目に入ったり吸い込むと危険なので、現在は使われなくなったそうです。今は、もっぱら炭酸カルシウムなどが使われているようです。

~薬剤師 鳥居英勝~