『月経量の減少』:放っておくと無月経などの大きな問題に発展しかねません。
この場合、西洋医学・中医学両面でチェックをして、原因に応じた対策が必要となります。

西洋医学的には・・・

正常な減少:月経に関係するホルモンの分泌が鈍り、子宮内膜がだんだんと薄くなることにより、年齢と共に徐々に量が減り、日数も短くなって行きます。

異常な減少:ホルモンの状態が活発であるはずの20代に、月経量が少なかったり、月経日数が3日未満と短い場合には注意が必要です。
この場合、ホルモンのアンバランスによって、卵胞の発育不全やエストロゲンの分泌低下が起こり、子宮内膜の厚みと柔らかさが不十分になっていることが考えられます。

中医学的には・・・

①血が不足し、子宮が十分な血に満たされていないと考えます。また、不妊につながるような深刻な場合には、血虚だけではなく腎虚になっている可能性があります。
この場合、陰の時期の卵胞期を中心に腎を強め、血を補って行くことが大切になります。

②お血が関係して、排泄がうまくいかないと考えます。これには、冷えやストレスが大きく関わっています。
この場合、月経期に不必要となったものを完全に排泄できない状態であり、新しい内膜の増殖が妨げられ、卵胞の成長が阻害され、ホルモンバランスを乱す原因になります。
対処法は、月経期に活血化おを施し、その他の時期にも必要に応じて漢方薬を使い、月経リズムを正常な状態に戻して行きます。
※お血は、月経期に不摂生をするとさらに悪化する傾向があります。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『中絶』は、とても体に負担がかかります。場合によっては普通に出産した時よりも、ダメージがかかることもあります。

中絶により妊娠しづらくなる場合には、その原因に応じて次のような対処法をとります。

①子宮内膜に傷がついた場合:
※傷の部分の血流が悪くなり、お血が生じるて、それにより子宮内膜がうまく増殖・分泌できないと考えます。
対処法=活血と補血で、内膜の増殖を助け、月経周期と体の状態を整えて行きます。

②妊娠12週以降の中期中絶の場合:
※自然な出産より体へのダメージが大きくなります。この時に十分な栄養がとれていないと、気血や腎に問題が起こり、妊娠しづらい体になってしまうこともあります。
対処法=現時点での体の問題に応じて、対策を立てることが大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『不正出血』そのものが不妊の原因になるわけではありません。しかし、原因となる体の問題をそのままにしておくと妊娠してからも出血が起こり易く流産しやすくなる可能性があります。

月経期以外に出血がある場合には、まず

①子宮に病気がないか
を確認します。

子宮に器質的な異常が無い場合には、基礎体温が判別に役立ちます。

②基礎体温が一相性の場合:無排卵で不正出血がおきている状態です。

③基礎体温が二相性でちゃんと月経もある場合には、『出血が起きる時期・出血の色や期間・他に伴う症状』で原因と対処法が異なってきます。
a)出血の時期が排卵期で、量がごく少量の場合:問題はありません。
b)排卵期以外の出血の場合:
ア)色が薄いあるいは茶色っぽくて、だらだらと長く続く場合→気虚(特に陽気の不足)
イ)色が黒っぽい・塊が混じる・痛みを伴う→お血  ※子宮筋腫やポリープを抱えている人が多い。
ウ)出血の色が鮮やかな赤→血熱

不正出血が気になる場合、出血の時期・色・量を良く観察することが大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『排卵痛』痛みだけではなく、排卵期にイライラしたり落ち込むなど、情緒不安定になることもあります。
中医学的には、気血のめぐりが悪くなっていると考えます。

対処法は・・・
『気血をめぐらせる』ことを主とします。
また、冷えると痛みがひどくなる場合は、暖宮散寒を合わせて施します。

※排卵痛には、排卵障害が起こっていたり、子宮内膜症や卵巣膿腫などの病気がかくれている場合もあるので注意が必要です。

また、卵胞の中の水分(卵胞液)が不足し卵胞膜が十分に膨張できず破れ難くなり、卵子が飛び出すのに手間がかかって痛みがおきることもあります。
この場合、卵胞期に気血をめぐらせるだけでなく、卵胞期に陰を補って、卵胞内を十分な卵胞液で満たせるようにすることが大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『乳房の脹りや痛み』月経前に軽い脹りや痛みを感じる程度であれば異常なことではなく、むしろ正常です。

注意した方が良い場合は・・・
①生理前にひどく脹って痛む。
②低温期から胸の脹りや痛みが起こり、高温期になるとそれがされに激しくなって痛む。
時です。

①の場合、疏肝理気によって気血の流れを良くすることで解消します。
②の場合、肝血不足で肝気欝滞が起きていると考えられます(PMS)。これを放っておくと、月経周期に乱れが生じ、不妊につながるようなトラブルに発展することも考えられます。補血を施し、かつ疏肝理気により気血のめぐりを良くすることで解消します。

他に、乳房の脹りや痛みは、高プロラクチン血症や乳腺炎などが関係している場合もあるので、注意が必要です。

また、全く乳房の脹りを感じない場合、ホルモンレベルが低い可能性があります。
この場合にも、原因に応じた対応が必要です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『ストレス』強くかかった状態が長く続くと、ホルモンのバランスが崩れて月経のリズムが乱れ、不妊へとつながることが多いです。

それを防ぐための対処法は・・・
①疏肝解欝
②理気活血

これにより、気血のめぐりを整えて、月経周期をもとの状態に戻して行くことを図ります。
また、排卵障害の改善にもつながります。

月経周期が乱れる・生理前に乳房が痛むほど脹る・イライラ・怒りっぽい・憂鬱・ため息・おなかが脹る・ゲップが多いという症状は、ストレスで身体が参っていることを現す重要なサインです。
運動などを合わせてストレスを解消することが大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『極端にやせている場合』には、まず身体の基礎を整えなければなりません。具体的な対処法は・・・

・気血を補う。そして、腎の機能を高める。

大切なのは、『身体の基礎と機能を高める』ことです。

妊娠・出産を考える場合には、早めに対応すると良いでしょう。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『高齢出産』近年では、栄養状態の改善や、人工授精・ホルモン療法などで、45歳までが出産可能年齢と言われています。

高齢出産の場合、自然妊娠でも、人工授精・ホルモン療法を行う場合でも、『腎の状態を高める』ことがとても大切です。

中医学では、妊娠・出産には『腎の機能』がとても大切であると考えています。

腎の機能は、加齢と共に自然に低下します。逆に言うと、腎の機能が十分に働いているということは、身体が若々しい証拠にもなります。

低下した腎の機能を補うことは、高齢における妊娠・出産を実現するために大切です。

また、加齢に伴う排尿の障害や、腰膝の弱りを和らげるのにも役立ちます。
証に合わせて『補腎』を行うと良いでしょう。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『初潮が遅かった場合』この状態は、『先天的に腎の機能が弱い』体質であることが考えられます。

腎の機能が弱い体質は、生理機能の弱さから不妊症になったり、更年期症状が強く出ることになる可能性があります。

この場合、中医学的には『腎の状態を高める』ことが必要になります。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『胚移植後』すなわち、『人工授精後の受精卵を子宮内に移植した後』には、安胎法により流産予防を心がけることが大切です。

補腎、補脾作用がある方剤には、安胎作用があります。
もともと疲れやすかったり体力が弱い方は特に、このような漢方薬を服用すると良いでしょう。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~