気随血脱・・・出血に伴って元気も出て行ってしまうこと。これは、大量出血のときに必ず見られる状態です。

大量出血に限らず、元々貧血傾向にある女性が生理で出血した際に見られることもあります。その場合の具体的な症状は、生理時に元気がない、立ちくらみ、目眩、お腹を手で覆うと気持ちがよく感じるような生理痛。

このような方は、血虚あるいは気血両虚タイプ。平素から血と気を補うことが大切です。漢方薬やアミノ酸製剤が効果的。食養生として、羊の肉、牛肉、鶏肉も血を増やすことが知られています。

血虚かどうかの目安は、脈が細い、舌の色が淡白、舌瞼をめくると白っぽい、爪を押すと血の色が戻るのが遅い、経血がうすいなど。気虚の代表的な症状は疲れやすいこと。このような方は、積極的に体質改善されることをおすすめします。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

原因と症状及び体質によって、いろいろな方剤が考えられます。

主な原因は、冷え、おしっこを我慢した、不衛生でバイキンが入ったなど。

一度膀胱炎になると繰り返すいわれますが、これは間違い。正しくは、膀胱炎になり易い体質のせいで、何度も起こしてしまうというべきでしょう。なりやすい体質というのは、気の不足、陰液の不足。※体力十分であっても場合によってはなる場合もあります。

代表的な症状は、痛み、発熱、残尿感、すっきり出ないなど。

それらを全体的にみながら、清熱解毒、利水、補気、補陰などの方剤を用います。(状態によっては抗菌剤が必要な場合もあります。)

通常5日~1週間位で緩解しますが、それより早く楽になった場合でも10日位は漢方薬を服用することが大切。そうすることで、完全に抑えることが出来ます。また、その間、体を温かくして、温かい飲み物を多く摂ると良いでしょう。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

黄斑変性症という目の病気が増えています。見ようとするものがゆがんだり、中心部がぼやけてしまい、視界が狭くなる病気です。原因は、目の中心部にある、直径2mの黄斑部が、老化により機能が低下することにより起こります。これには萎縮型(乾燥型)と滲出型(新生血管型)の2つあります。滲出型における黄斑変性症は、栄養を取り次ぐ網膜色素上皮細胞が老化して、新生血管が発生します。この新生血管はもろいため、すぐに破れて網膜色素細胞の機能をこわしてしまいます。この出血を繰り返すことで視力が大幅に下がり、放置しておくと視力を失うことがあります。乾燥型は、黄斑部網膜が変色する病気です。この原因は、動脈硬化による血流の低下と考えられます。

黄斑変性症に対して、漢方では田七人参を用います。田七人参は、血をサラサラにすることと、血管外へ血がもれることを防ぐという相反する二つの作用を持っています。これにより、出血を抑えながら血液の流れを良くする効果が期待できます。また、乾燥型の場合には血流を良くするために活血剤を併用すると効果的です。※滲出型の場合も、状態によっては活血剤を併せることもあります。

   ~薬剤師 鳥居英勝~

歯槽膿漏、蓄膿症、おできなどの膿をもった炎症性の疾患にも漢方薬は有効です。その場合には『清熱解毒』という治法をとります。もしも、素体が虚している場合には、正気を補うことを合わせ、『扶正去邪』を行います。

すなわち扶正により正気を高めることで体の抵抗力を高め、かつ悪いものを外へ出す力を高めることと、去邪により悪いものを外へ出し、やっつけることにより症状を快方に向かわせます。

この扶正去邪という治法は、膀胱炎の対処でも有効です。

程度によっては抗生剤や外科的な治療が必要な場合もあります。 

      ~薬剤師 鳥居英勝~

認知症に効く漢方薬にはどのようなものがあるかご紹介します。

大きく分けて、認知症には脳血管性とアルツハイマー性の2つの病態があります。

脳血管性の対応としては血流を良くすることが最重要。そのためには活血剤が有効です。特に頭に血液を通す作用のあるセンキュウやカッコンなどを含む方剤を適用するとよいでしょう。また、イチョウ葉エキスやタンジン製剤も血液をサラサラにする作用があるので有効です。

アルツハイマー性の場合、漢方での対応は今のところ難しいと思われます。大事になるのはアミロイドβ対策。アミロイドβは、高血糖・高コレステロール血症下において増えやすくなるといわれているので、そちらへの対応が必要。

以前テレビで抑肝散という漢方薬が取り上げられ、その直後は多くの問い合わせを受けました。抑肝散の働きは怒りの緩和。認知症の進行をおさえるというよりも、認知症の方によく見られる怒りをや和らげることを期待した方剤です。怒りの緩和によって、日常の生活がしやすくなることは見込まれますが、認知症の原因を積極的に改善する効果は弱いように思います。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

腰痛、膝痛、足のしびれ痛など、『いたみ』でお悩みの方が多くいらっしゃいます。特に晴天から急に雨になったり、どんより曇る日への変わり目には痛みがつらくなる様子。

鎮痛剤やシップ剤は、熱をうばい炎症を抑えてくれます。急性期で炎症がひどいときや、じっとしていても痛いときには有効です。ただ、ある程度時間が経って、動くときだけ痛みを感じるような場合には逆効果。そのような段階に入ったら、ほどよく温める方がよいようです。

その切り替えの目安は、お風呂に入って温まったときに気持ちいいなと感じるかどうか。気持ちいいと感じるようになったら温めると良いようです。

漢方薬も効果的です。たとえば、骨折や打撲、捻挫などを起こしたばかりの時には、熱をとり血流をよくすることが大切。腫れと痛みが早く引きます。

慢性化した場合には、気血の通りを良くすることが大切。必要に応じて活血剤や利水剤をあわせると効果がアップします。体質に合わせて気を補ったり腎を補うと、痛みの改善だけでなく体質改善にもつながります。

この急性期・慢性期の考え方は、ぎっくり腰の場合にも適用できます。

痛み・炎症は治癒反応の1つ。消炎鎮痛剤を長く続けて、熱を冷まし炎症を抑えてしまうと、その治癒反応をとめることになってしまい症状が長く続いてしまう事がにつながります。また、化学物質自体交感神経を興奮させるので、血流が悪くなってしまうことも、症状を長びかせる根拠の1つ。緊急の場合は良いにしても、長く続ける事には疑問があります。

『いたみ』克服のために、自分が本来持っている治癒力を高めて、治す機能を活性化してくれる漢方薬を上手に使う事をお勧めします。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

『賞味期限切れ』『産地偽装』などの問題で、消費者の『食品の表示』についての意識は高いように思います。知っておくと便利な表示の見方をご紹介します。

消費期限:これを過ぎたら食べないようにしてくださいという期限。衛生上安全に食べられる期限を表している。

賞味期限:おいしく食べる事が出来る期限。味や香りなど全ての品質が保持され、おいしく食べられる期限を表している。

原産地表示:生鮮食品としてのエビは、〇〇産の表示が必要。衣を付けただけの調理前エビフライにも必要。揚げてあるエビフライでは不要となる。・・・これは揚げるという加工により、原産地の違いの商品価値に占める割合が小さくなるから。

アレルギー表示:乳とは牛乳のことであり、めん羊乳ややぎ乳はふくまれていない。卵は鳥の卵のことであり、魚卵は含まれない。ただし、いくらは個別に表示が推奨されている。

食品偽装:中国製食品の偽装に比べて、アメリカ製は3倍。ワインや果汁飲料などを水増しすること偽装とはよばす食品偽和とよぶ。

以上は、食品の表示ー国内基準から国際規格までー(日本フードスペシャリスト編)より抜粋したものです。この本は、一般食品の表示を理解するための入門書として一読に値すると思います。※表示に関するルールの変更は頻繁に行われるので、本書の記載内容にも賞味期限があることを知っておく必要があります。

私がこの本を読んで気になったのは、原産地表示のこと。加工してしまったらどこのものを使っていても表示する義務がないということは、不便だなと思います。こまかい食材まで全てを記載するのは無理にしても、メインになる食材については記載して欲しい。

原発事故後、産地表示のニーズは以前よりも高まっています。以前は国産が外国産かが大事でしたが、今では国内産でもどの地域でとれたものかを気にする消費者が増えています。このニーズに応え、いずれ『この製品は〇〇産のみを使用しています』や『この製品は〇〇地方でとれたものは一切使用していません』などの記載がされるようになってくるかも知れません。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

本日、脳トレで有名な川島先生の講演を拝聴してきました。ためになるお話満載でした。要旨を箇条書きで載せます。

題:脳科学からみる子供の生活リズム(生活習慣と発達 脳の元気のもと)

 

夜更かし型生活→脳が興奮→寝不足→質の低下した長時間睡眠(土日に平日と同じ時間に起きられない。ミトコンドリア機能の障害(疲れやすい)→エネルギー産生障害→脳機能低下

レム睡眠=記憶が固定。日中したことを脳が復習する時間。睡眠時間の減少=レム睡眠の減少。

最初の深い睡眠が大切→成長ホルモンは夜10時から放出される。成長期は10時には深い眠りに入るようにすることが大切!小さいうちは9時には寝かす。

睡眠時間6時間以下では記憶の定着が非常に悪い。

睡眠の質の低下につながるので、携帯電話は×・・・夜中でも連絡があると答えないといけないため。子供から携帯を取り上げるべき。

海馬の体積は睡眠時間と比例する。

 

食事:神経細胞はブドウ糖のみをエネルギーにしている。でんぷん(米やパン)を食べるのはそのため。

学習は脳のネットワークを強化・形成すること。

主食(=脳が働く)とおかず(=学習する)。

朝ごはんは必ず食べさせる事

朝食と脳活動の関係:朝食を抜くと8割の力ちか出せない。糖だけでは脳は働かない。ビタミンB1、クロム、リジン(重要:必須アミノ酸の1つで、脳のネットワーク構築に必要)、αリポ酸が必要。

リジンは豆類に多く含まれる。朝食のおかずは多ければ多いほど正相関する。味噌汁、日本茶、野菜を摂ると良い。食事が楽しい、手作りの食事、母親の会話が食事中多いと良い。

朝食を小学校高学年から自分で作らせるようにする。セルフディフェンス(作ってもらえないときの)のため知識と技術を教える。

米食の方が知能が高い。脳が発達する(意欲の脳・脳灰白質)。

日本の食パンは精製しすぎた小麦を使うため、血糖値を急上昇させる。繊維質のおかずを一緒にとると緩和する。全粒粉のパン、ライ麦パン、玄米は良い。

朝食が学習意欲に関わる。内発的意欲=勉強することが楽しい。外発的意欲=勉強しないと叱られるから→学力低下。

大脳=前頭葉、頭頂葉、側頭葉、前頭前野(重要・生きる力)

知(確かな学力) 徳(人間性) 体(健やかな体)・・・前頭前野の役割

0~3才:ぐんと育つ 小5~大学入学:中高大でどう努力するかで前頭前野が育つ

脳をきたえる方法:作動記憶トレーニング→さまざまな能力アップ、知能アップ。流動性知能:論理的に考える、新しい問題を解決する。運動能力もアップ。

10才をピークに脳の体積は減る

調理は前頭前野を活性化する

親子のふれあいが子供の脳を刺激する

子供達が何か出来た事をたくさんほめてあげる。

親子で調理すると良い。調理で親子関係がかわる。週1にホットケーキを作るだけでも良い。

子供の調理経験が将来に与える影響。幼少期:人生に前向きの気持ち

食事の手伝い経験も良い、自信・至福感。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

今年の夏はとにかく暑いですね。

猛烈に暑かった夏の後には、『乾き』への注意が必要。今年の秋~冬は、肺の乾きによるカラ咳と皮膚の乾きによるカユミへの配慮が必要になってきます。

秋~冬を元気に過ごすためには、元々肺や皮膚が弱い人は、今のうちからアミノ酸を補給して内側から肺や皮膚を潤しておくことをお勧めします。漢方薬に、肺を潤わせる(補肺津液)もの、皮膚を潤わせる(養血潤燥)ものがあり、効果大です。また、秋の味覚である梨や黒キクラゲには体を潤わせる作用がありますし、クコの実は肺を丈夫にすることが知られていますので、気になる方は養生のために積極的に摂ると良いでしょう。

乾燥肌の方は、それに加えてクリームなどで保湿することも大切。お風呂あがりに水分を肌に閉じ込めるイメージで保湿剤でスキンケアすることをお勧めします。保湿剤にも、単純に水分を閉じ込めるものから、皮膚の内側に皮膚本来の構成成分を補充するものなど、色々あります。刺激が少なくて、お肌の環境に合った保湿剤を使用しましょう。

      ~保健堂 鳥居薬局~

しじみ〇個分のオルニチン配合! 最近では即席味噌汁にもこの表示があるものがあります。オルニチンとは、アミノ酸の1種。主な働きは次の二つです。

①成長ホルモンを放出させる・・・成長ホルモンは、文字通りからだを育てるのに働いたり、細胞を修復するのに役立つホルモン。1日のうちで、特に夜の10時から深夜2時にかけて多く分泌されるといわれています。(健やかに大きく育つために、成長期のお子さんはこの時間帯は寝ている事が望ましいといわれています。)

②インシュリンを分泌させる・・・インシュリンは細胞に糖を取り込むのに必要なホルモン。オルニチンのインシュリン分泌作用を利用して、筋肉に栄養を取り込んで十分に鍛え、体を大きくするためにボディービルダーが筋トレの前に飲むことも多いようです。

オルニチンを効果的に働かせるには、空腹時に水またはジュースで飲むことと、同時にタンパク質をとらないことが大切とのこと。日中ハードに動く方や、成長期をむかえても背が思うように伸びない方は、寝る前に飲むと良いかもしれません。

      ~薬剤師 鳥居英勝~