黄斑変性症という目の病気が増えています。見ようとするものがゆがんだり、中心部がぼやけてしまい、視界が狭くなる病気です。原因は、目の中心部にある、直径2mの黄斑部が、老化により機能が低下することにより起こります。これには萎縮型(乾燥型)と滲出型(新生血管型)の2つあります。滲出型における黄斑変性症は、栄養を取り次ぐ網膜色素上皮細胞が老化して、新生血管が発生します。この新生血管はもろいため、すぐに破れて網膜色素細胞の機能をこわしてしまいます。この出血を繰り返すことで視力が大幅に下がり、放置しておくと視力を失うことがあります。乾燥型は、黄斑部網膜が変色する病気です。この原因は、動脈硬化による血流の低下と考えられます。

黄斑変性症に対して、漢方では田七人参を用います。田七人参は、血をサラサラにすることと、血管外へ血がもれることを防ぐという相反する二つの作用を持っています。これにより、出血を抑えながら血液の流れを良くする効果が期待できます。また、乾燥型の場合には血流を良くするために活血剤を併用すると効果的です。※滲出型の場合も、状態によっては活血剤を併せることもあります。

   ~薬剤師 鳥居英勝~

歯槽膿漏、蓄膿症、おできなどの膿をもった炎症性の疾患にも漢方薬は有効です。その場合には『清熱解毒』という治法をとります。もしも、素体が虚している場合には、正気を補うことを合わせ、『扶正去邪』を行います。

すなわち扶正により正気を高めることで体の抵抗力を高め、かつ悪いものを外へ出す力を高めることと、去邪により悪いものを外へ出し、やっつけることにより症状を快方に向かわせます。

この扶正去邪という治法は、膀胱炎の対処でも有効です。

程度によっては抗生剤や外科的な治療が必要な場合もあります。 

      ~薬剤師 鳥居英勝~

認知症に効く漢方薬にはどのようなものがあるかご紹介します。

大きく分けて、認知症には脳血管性とアルツハイマー性の2つの病態があります。

脳血管性の対応としては血流を良くすることが最重要。そのためには活血剤が有効です。特に頭に血液を通す作用のあるセンキュウやカッコンなどを含む方剤を適用するとよいでしょう。また、イチョウ葉エキスやタンジン製剤も血液をサラサラにする作用があるので有効です。

アルツハイマー性の場合、漢方での対応は今のところ難しいと思われます。大事になるのはアミロイドβ対策。アミロイドβは、高血糖・高コレステロール血症下において増えやすくなるといわれているので、そちらへの対応が必要。

以前テレビで抑肝散という漢方薬が取り上げられ、その直後は多くの問い合わせを受けました。抑肝散の働きは怒りの緩和。認知症の進行をおさえるというよりも、認知症の方によく見られる怒りをや和らげることを期待した方剤です。怒りの緩和によって、日常の生活がしやすくなることは見込まれますが、認知症の原因を積極的に改善する効果は弱いように思います。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

腰痛、膝痛、足のしびれ痛など、『いたみ』でお悩みの方が多くいらっしゃいます。特に晴天から急に雨になったり、どんより曇る日への変わり目には痛みがつらくなる様子。

鎮痛剤やシップ剤は、熱をうばい炎症を抑えてくれます。急性期で炎症がひどいときや、じっとしていても痛いときには有効です。ただ、ある程度時間が経って、動くときだけ痛みを感じるような場合には逆効果。そのような段階に入ったら、ほどよく温める方がよいようです。

その切り替えの目安は、お風呂に入って温まったときに気持ちいいなと感じるかどうか。気持ちいいと感じるようになったら温めると良いようです。

漢方薬も効果的です。たとえば、骨折や打撲、捻挫などを起こしたばかりの時には、熱をとり血流をよくすることが大切。腫れと痛みが早く引きます。

慢性化した場合には、気血の通りを良くすることが大切。必要に応じて活血剤や利水剤をあわせると効果がアップします。体質に合わせて気を補ったり腎を補うと、痛みの改善だけでなく体質改善にもつながります。

この急性期・慢性期の考え方は、ぎっくり腰の場合にも適用できます。

痛み・炎症は治癒反応の1つ。消炎鎮痛剤を長く続けて、熱を冷まし炎症を抑えてしまうと、その治癒反応をとめることになってしまい症状が長く続いてしまう事がにつながります。また、化学物質自体交感神経を興奮させるので、血流が悪くなってしまうことも、症状を長びかせる根拠の1つ。緊急の場合は良いにしても、長く続ける事には疑問があります。

『いたみ』克服のために、自分が本来持っている治癒力を高めて、治す機能を活性化してくれる漢方薬を上手に使う事をお勧めします。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

『賞味期限切れ』『産地偽装』などの問題で、消費者の『食品の表示』についての意識は高いように思います。知っておくと便利な表示の見方をご紹介します。

消費期限:これを過ぎたら食べないようにしてくださいという期限。衛生上安全に食べられる期限を表している。

賞味期限:おいしく食べる事が出来る期限。味や香りなど全ての品質が保持され、おいしく食べられる期限を表している。

原産地表示:生鮮食品としてのエビは、〇〇産の表示が必要。衣を付けただけの調理前エビフライにも必要。揚げてあるエビフライでは不要となる。・・・これは揚げるという加工により、原産地の違いの商品価値に占める割合が小さくなるから。

アレルギー表示:乳とは牛乳のことであり、めん羊乳ややぎ乳はふくまれていない。卵は鳥の卵のことであり、魚卵は含まれない。ただし、いくらは個別に表示が推奨されている。

食品偽装:中国製食品の偽装に比べて、アメリカ製は3倍。ワインや果汁飲料などを水増しすること偽装とはよばす食品偽和とよぶ。

以上は、食品の表示ー国内基準から国際規格までー(日本フードスペシャリスト編)より抜粋したものです。この本は、一般食品の表示を理解するための入門書として一読に値すると思います。※表示に関するルールの変更は頻繁に行われるので、本書の記載内容にも賞味期限があることを知っておく必要があります。

私がこの本を読んで気になったのは、原産地表示のこと。加工してしまったらどこのものを使っていても表示する義務がないということは、不便だなと思います。こまかい食材まで全てを記載するのは無理にしても、メインになる食材については記載して欲しい。

原発事故後、産地表示のニーズは以前よりも高まっています。以前は国産が外国産かが大事でしたが、今では国内産でもどの地域でとれたものかを気にする消費者が増えています。このニーズに応え、いずれ『この製品は〇〇産のみを使用しています』や『この製品は〇〇地方でとれたものは一切使用していません』などの記載がされるようになってくるかも知れません。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

本日、脳トレで有名な川島先生の講演を拝聴してきました。ためになるお話満載でした。要旨を箇条書きで載せます。

題:脳科学からみる子供の生活リズム(生活習慣と発達 脳の元気のもと)

 

夜更かし型生活→脳が興奮→寝不足→質の低下した長時間睡眠(土日に平日と同じ時間に起きられない。ミトコンドリア機能の障害(疲れやすい)→エネルギー産生障害→脳機能低下

レム睡眠=記憶が固定。日中したことを脳が復習する時間。睡眠時間の減少=レム睡眠の減少。

最初の深い睡眠が大切→成長ホルモンは夜10時から放出される。成長期は10時には深い眠りに入るようにすることが大切!小さいうちは9時には寝かす。

睡眠時間6時間以下では記憶の定着が非常に悪い。

睡眠の質の低下につながるので、携帯電話は×・・・夜中でも連絡があると答えないといけないため。子供から携帯を取り上げるべき。

海馬の体積は睡眠時間と比例する。

 

食事:神経細胞はブドウ糖のみをエネルギーにしている。でんぷん(米やパン)を食べるのはそのため。

学習は脳のネットワークを強化・形成すること。

主食(=脳が働く)とおかず(=学習する)。

朝ごはんは必ず食べさせる事

朝食と脳活動の関係:朝食を抜くと8割の力ちか出せない。糖だけでは脳は働かない。ビタミンB1、クロム、リジン(重要:必須アミノ酸の1つで、脳のネットワーク構築に必要)、αリポ酸が必要。

リジンは豆類に多く含まれる。朝食のおかずは多ければ多いほど正相関する。味噌汁、日本茶、野菜を摂ると良い。食事が楽しい、手作りの食事、母親の会話が食事中多いと良い。

朝食を小学校高学年から自分で作らせるようにする。セルフディフェンス(作ってもらえないときの)のため知識と技術を教える。

米食の方が知能が高い。脳が発達する(意欲の脳・脳灰白質)。

日本の食パンは精製しすぎた小麦を使うため、血糖値を急上昇させる。繊維質のおかずを一緒にとると緩和する。全粒粉のパン、ライ麦パン、玄米は良い。

朝食が学習意欲に関わる。内発的意欲=勉強することが楽しい。外発的意欲=勉強しないと叱られるから→学力低下。

大脳=前頭葉、頭頂葉、側頭葉、前頭前野(重要・生きる力)

知(確かな学力) 徳(人間性) 体(健やかな体)・・・前頭前野の役割

0~3才:ぐんと育つ 小5~大学入学:中高大でどう努力するかで前頭前野が育つ

脳をきたえる方法:作動記憶トレーニング→さまざまな能力アップ、知能アップ。流動性知能:論理的に考える、新しい問題を解決する。運動能力もアップ。

10才をピークに脳の体積は減る

調理は前頭前野を活性化する

親子のふれあいが子供の脳を刺激する

子供達が何か出来た事をたくさんほめてあげる。

親子で調理すると良い。調理で親子関係がかわる。週1にホットケーキを作るだけでも良い。

子供の調理経験が将来に与える影響。幼少期:人生に前向きの気持ち

食事の手伝い経験も良い、自信・至福感。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

今年の夏はとにかく暑いですね。

猛烈に暑かった夏の後には、『乾き』への注意が必要。今年の秋~冬は、肺の乾きによるカラ咳と皮膚の乾きによるカユミへの配慮が必要になってきます。

秋~冬を元気に過ごすためには、元々肺や皮膚が弱い人は、今のうちからアミノ酸を補給して内側から肺や皮膚を潤しておくことをお勧めします。漢方薬に、肺を潤わせる(補肺津液)もの、皮膚を潤わせる(養血潤燥)ものがあり、効果大です。また、秋の味覚である梨や黒キクラゲには体を潤わせる作用がありますし、クコの実は肺を丈夫にすることが知られていますので、気になる方は養生のために積極的に摂ると良いでしょう。

乾燥肌の方は、それに加えてクリームなどで保湿することも大切。お風呂あがりに水分を肌に閉じ込めるイメージで保湿剤でスキンケアすることをお勧めします。保湿剤にも、単純に水分を閉じ込めるものから、皮膚の内側に皮膚本来の構成成分を補充するものなど、色々あります。刺激が少なくて、お肌の環境に合った保湿剤を使用しましょう。

      ~保健堂 鳥居薬局~

しじみ〇個分のオルニチン配合! 最近では即席味噌汁にもこの表示があるものがあります。オルニチンとは、アミノ酸の1種。主な働きは次の二つです。

①成長ホルモンを放出させる・・・成長ホルモンは、文字通りからだを育てるのに働いたり、細胞を修復するのに役立つホルモン。1日のうちで、特に夜の10時から深夜2時にかけて多く分泌されるといわれています。(健やかに大きく育つために、成長期のお子さんはこの時間帯は寝ている事が望ましいといわれています。)

②インシュリンを分泌させる・・・インシュリンは細胞に糖を取り込むのに必要なホルモン。オルニチンのインシュリン分泌作用を利用して、筋肉に栄養を取り込んで十分に鍛え、体を大きくするためにボディービルダーが筋トレの前に飲むことも多いようです。

オルニチンを効果的に働かせるには、空腹時に水またはジュースで飲むことと、同時にタンパク質をとらないことが大切とのこと。日中ハードに動く方や、成長期をむかえても背が思うように伸びない方は、寝る前に飲むと良いかもしれません。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

暑い夏です。暑気払い、蒸し暑いなど、日本の夏のあつさは『暑』で表されます。今年の夏はそれに加えて日差しが『熱』い。肌を刺すような熱い日差しも今年の特徴のようです。

あつさ対策で忘れてはいけないのは、水分と塩分(ビタミンやミネラルなどの電解質)。屋外で働く方はもちろん、屋内で過ごす場合でも水分と塩分補給は大切です。

私が小学生の頃は、熱射病で霍乱しないようにと外出するときには帽子をかぶるよう指導されました。今はあまり熱射病という言葉はきかなくなりましたが、それに代わって毎日のようにきくのが熱中症。高温で体内の水分が汗で消耗され、水分と電解質が不足した上に体温が上昇し、生体機能が低下するこわい症状です。それを予防するためにも、水分と塩分補給は必須。もちろん、温度と日差し対策が必要であるいうまでもありません。

昨日久しぶりに東京に行って感じたのですが、東京はとにかく暑い。ここ栃木とは暑さの質が違うように感じます。土が少なくコンクリートが多いせいなのでしょう。下から湧き上がるような暑さを感じます。吹く風も暑くて心地よくありません。もちろん栃木でも暑いときは相当暑いのですが、どこか爽やかさを感じます。やはり、山や川が近くにあると違うんでしょうね。そこで、中国の南方を旅行したときのことを思い出しました。旅した場所は亜熱帯エリアで相当暑く、湖では人も水牛も一緒になって泳ぐようなところでした。そこでは暑くてもやはり爽やかさがあった。きっと山や平野など、土の部分が多いことが天然の暑さよけになっていたのでしょう。案内してくれた現地の方から、生姜のお菓子など辛くて発汗作用のあるものを食べるようすすめられました。食べると一時的にカッとあつくなり、その後汗が出て心地よく感じたのを覚えています。

よく、暑いときは辛い物を食べてからだを冷まそうといわれますが、それはあつければどこでも通用するのでしょうか?湿度が余りに高いと、逆に汗が蒸発せずに肌に残って、逆に体温を上げてしまうことにはならないでしょうか?昨日の猛烈な暑さを東京で経験して、疑問に思いました。

東京のような高温多湿のところでは、辛い物を食べるよりも、ちょっとアルコールの入った清拭剤や、メンソール配合のローションシートなどで体を拭く方が、効率よく熱がさめるかもしれせん。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

今年の夏は猛暑のせいか、あせものお子様が多く見られます。基本的なあせものケアー方法をお知らせします。

①汗を流し、肌を清潔に保つ ②保湿して肌を整える ③塗り薬 

これが基本になります。決め手になるのは②の保湿。お風呂上りで肌がしっとりしているうちに、保湿剤で水分を閉じ込めることが大切です。保湿剤は、肌の状態に合わせてローション・ジェル・クリームなどを使い分けると良いと思います。

このお手当ては乾燥肌の痒みにも有効。ひどくならない内であれば、続けている内に肌がすべすべになって、おどろくほど痒みが出なくなります。

      ~薬剤師 鳥居英勝~