『3日前の食事が今日の体調に影響する』という学説をご存知でしょうか。すなわち、今日体調が良いな、悪いなというのは、3日前に摂った食事が良かったか悪かったかが関係しているというもの。

発明王として知られるドクター中松さんが、何年か前にイグノーベル賞を受賞した研究です。

もしこれが本当だとすれば、例えば日曜日に野球の試合がある場合や、大事な試験がある時などは、木曜日の食事に注意した方が良いということになります。

ほかの栄養学者の話で、『食べ物は3日で考えると良い』ということを聞いたことがあります。例えば今日おかしを食べ過ぎてしまったら、後の2日で節制してバランスを取れば良いというもの。

両方とも3日という日数が一致するところが、それぞれの信憑性を高めています。

私は、『健康は正しい食事から得られるもの』だと考えています。毎日正しい食事を摂り続けることができればそれが一番ですし、そうするよう心がけています。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

カユミでお悩みの方が多くいらっしゃいます。空気が乾いている秋~冬に多いのは乾燥性のカユミ。その場合、お風呂上りにたっぷりクリームを塗って保湿をしたり、当帰飲子という漢方薬を服用して肌を潤わせることで改善することが見込めます。

乾燥性ではなく、決まって夜になるとかゆくなる場合方もいらっしゃいます。皮膚科に通って抗アレルギー剤を服用したり、ステロイドの外用薬を塗ってもその場しのぎでやめたらまた戻ってしまう。このような場合、原因の1つに自律神経の働きが影響していることが考えられます。

日中仕事などで強いストレスにさらされていて交感神経が強く緊張しており、夜に家に帰ってフッと楽になった時にカユミが出る。これは、家でリラックスしたときに副交感神経が反射的にパッと優位になることで説明がつきます。

このような方は、お風呂に入ったときにカユミが増すことが多いようですが、入浴は身体をリラックスさせ副交感神経を高めるし、さらに温まることと皮膚の血流が良くなることでカユミ感覚が増すのも影響しているのでは。

また、夜間には自律神経支配の作用で副腎皮質ホルモンの分泌が減るので、炎症反応が出やすくなるのも一因かも知れません。

ではどうしたらリラックス時のカユミが和らぐのでしょうか?1つに、夜に生じる『交感神経と副交感神経の優位性が緩やかに逆転』すれば緩和されていくかもしれません。

そのためには、日中過度に緊張状態が続くことを避けることが何よりも大切だと思います。そうすることで、交感神経が極度に緊張することを防ぐことが出来るので、その影響で副交感神経も緩やかに立ち上がるようになることが期待できます。そのために、ストレスブロックといって、仕事中1時間に2~3回深呼吸をしたり軽い運動をしたりして、ストレスを短時間で切って行くと良いようです。爪揉みといって、爪の生え際を指圧するのも効果的でしょう。

また、ストレスを和らげる漢方薬や、自律神経を調整する人参の栄養剤を、生活に合わせて服用することも有効と考えられます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

うんち、おしっこ、おちんちん。子供が大喜びするのはなぜでしょうか?

一説によると、子供にとって排尿行為はとても気持ちが良いことであって、それに関わるキーワードが大好きなんだそうです。

うんち、おしっこは絶対しないといけない生理行動ですが、子供にとっては快楽でもあるんですね。

一方で、お風呂。入浴は気持ちいいものですが、お風呂嫌いのお子さんもいると聞きます。気持ち良いよりも先に、服を脱ぐことの面倒の方が先に立つのかもしれません。

服を脱ぐことが面倒といえば、うんちをするときにズボンからパンツまで全部脱ぐ子の場合、そうでない子に比べて大きくなってから便秘になる率が高いようです。

その理由は、用を足すときに服を脱ぐことが面倒であるがゆえにトイレが嫌いになり、うんちをするのが遅くなるため。したい時にしないと習慣性便秘になりやすくなりますからね。

大人になってから便秘症にならないためにも、小さいうちから、ズボンとパンツは膝辺りまで下ろした状態で排便できるようにしておくと良いようです。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

皆さんご存知の半身浴。水圧による身体への負荷が軽いので心臓が悪い方でも安心な入浴法として知られています。

半身浴の最大のメリットは、身体が良く温まること。胸あたりから上がお湯から出ているためにのぼせにくく、長く入っていられるので、上手に入れば身体を芯から温めることができます。身体を芯から温めるためには、38~39度くらいのちょっとぬるめのお湯で、20~30分ゆっくりつかると良いようです。※温度と時間は気持ちが良いことが重要。

このような入浴法で得られる効果は・・・深部体温があったまる、末梢血管が開くので手足の冷えによい、体温が上がるので免疫力がアップする、リラックスすることで副交感神経が活性化されてぐっすり眠れる・同時にリンパ球が増えるので免疫力がアップする、代謝が良くなるので肥満解消に役立つ、などなど。

これから寒くなる季節ですので、身体の冷えが気になる方は、是非半身浴を試してみてはいかがでしょうか。半身浴の際は、肩が冷えないように、温かいお湯でぬらしたタオルをかけたり、かけ湯をすることを忘れないようにしましょう。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

カリウム(K)は、緑黄色野菜に多く含まれているミネラルです。体内ではナトリウム(Na)と相関して、水液代謝や細胞が正常に働く上で重要な役割を担っています。

Kにはもう1つ重要な働きがあります。それは、放射性セシウムの体内への蓄積を軽減する働き。身体を十分なKで満たしておけば、放射性セシウムを摂取しても細胞に取り込まなくて済むため排泄が早いとのこと。

そのように人体に有益なKですが、自然界に存在するK原子の内、8800個に1個は放射性カリウムであるとのこと。平素から、我々は食事で微量ではあっても放射性カリウムを摂り続けており、健康を気にして緑黄色野菜を多く食べている人は、それだけ多くの放射性カリウムを摂取していることになります。

とはいえ、これまでベジタリアンが癌になり易いというデータを見たことはありません。原発事故後の放射性物質が気になる今の時期は、放射性セシウムに蓄積を防ぐためにも、やはり安全が確認された野菜などからKを多く摂取するメリットはあると思います。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

コーヒーを飲むと、ストレスが和らいだり眠気がすっきりするなど、色々な効用があることが知られていますが、香りを嗅ぐだけでもある効果が期待できるようです。

その効果とは、ストレス緩和作用。揮発性成分を嗅ぐことで、覚醒水準が低下して、抗不安様のストレス緩和作用が発揮されるとのこと。※その作用は、豆の種類によって違いがあるようです。

コーヒーは、含まれるカフェインによって覚醒作用があり、飲むと眠気がスッキリすることは有名ですが、香りだけを嗅ぐと逆に覚醒水準が低下するということは面白い情報だと思います。

夜ぐっすり眠るのに苦労している方は、コーヒーの香りを利用すると良いかもしれません。飲んでしまうと、カフェインによって眠れなくなることがあるので要注意です。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

文部科学省が、地表面への放射性セシウム蓄積量マップを公表しています。どのようにして測定して作られたものなのか調べてみました。

測定方法:ヘリコプター及び飛行機により、対地高度で150~300mの飛行高度でγ線を測定する。モニタリングにおける航空機の軌跡幅は3km程度。公表される数値は、航空機下部の直径約300m~600mの円内の測定値を平均化したものであり、併せて陸上においてγ線エネルギー分析装置を用いて測定した結果も踏まえて算出。

要するに、3km毎に150m~300mの高度で測ったγ線量から地上に積もっている放射性セシウムの量を算出したものと、地上で測定したγ線量を併せて分析して、数値化したということです。

ただ、軌跡幅が3km程度、測定値は300m~600mの円内を平均化したものということは、限られた狭いエリアのホットスポットや、水で流されて自然に除染されるなどして線量が少ない場所などは表現されていない可能性が高いことは頭に入れておくべきでしょう。また、蓄積量の色の境界線は実際と数kmずれている箇所があることも考えられます。

放射性セシウムは、β線とγ線を放出します。β線は内部被曝、γ線は外部被曝を考える際に重要になってきます。蓄積量マップ作成に利用されたのはγ線のみですが、その線量が多い場所は即ちβ線も多いということ。地図で蓄積量の多いエリアに住んでいる場合には、外部被曝と内部被曝の両面への注意が必要になります。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

秋になり空気が乾燥し、感染症が気になる時期になってきました。感染予防に『うがい』と『手洗い』は必須。それぞれに便利な殺菌剤などをまとめてみました。

うがい薬には、ヨード系・セチリピリジニウム系の殺菌剤や、アズレン系の抗炎症剤があります。また、それらに炭酸水素ナトリウムが入っていると浄化作用が高くなります。ただ、殺菌剤でうがいをしすぎると、のどの繊毛運動が鈍くなって自浄作用が弱まるといわれているので注意が必要。日常のうがいは、塩水でガラガラやれば十分で、うがい薬は、のどが化膿している場合や、炎症があったり痛みがある場合に使う程度で良いようです。

手洗い用洗剤にも色々あります。普通の石ケンでも汚れはきれいになりますが、ウィルスや細菌が気になる場合には殺菌剤の入った薬用石鹸を使うと良いでしょう。最近では、塩化ベンザルコニウム配合の泡ウォッシュも出ています。

手洗い後に使う速乾性の殺菌ジェルにも色々あります。消毒用エタノール、塩化ベンザルコニウム含有消毒用エタノール、クロルヘキシジン配合の消毒用エタノールが代表的。消毒用エタノールだけでもウィルス・細菌に対してかなりの除菌効果が期待できますが、塩化ベンザルコニウムやクロルヘキシジンが配合されているとさらに抗菌域が広くなります。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

寒くなってきたこともあり、おしっこの悩みのご相談が多くなってきました。

おしっこのトラブルには、頻尿・尿漏れ・排尿困難・残尿感などがあります。男性は尿道が長く前立腺に圧迫されているため、尿が出にくい排尿障害が起こりやすく、女性は尿道が短く筋力が弱いため、尿が漏れる蓄尿障害と細菌の膀胱への侵入による膀胱炎が起こりやすくなります。OTC医薬品は漢方薬が中心で、特別な原因が見出せない尿トラブルに有効です。代表的な漢方薬として、清心蓮子飲・八味地黄丸・猪苓湯・竜胆ンシャ肝湯・小建中湯・五淋散などがあります。

病態を分類すると次のようになります。

1、腹圧性尿失禁(咳やくしゃみなどお腹に力が入ると漏れてしまう)・・・女性に多く、妊娠・出産や加齢、肥満により骨盤底筋(膀胱・膣・尿道を支える筋肉)が弱まるために起こります。・・・治療:β2刺激薬・骨盤底筋補強手術・骨盤底筋体操・膀胱訓練

2、過活動膀胱(突然強い尿意が起こりトイレまで我慢できない。トイレが近い。)・・・様々な原因により膀胱が活動しすぎてしまい、尿があまり溜まっていないのに排尿筋が収縮し頻尿が起こります。・・・治療:平滑筋弛緩薬(女性のみOTCあり)・抗コリン薬・骨盤底筋体操・膀胱訓練

3、膀胱炎などの感染症(強い尿意が起こり、尿の濁りや残尿感、排尿痛が伴う。)・・・膀胱、尿管、尿道、腎盂などに細菌が侵入し炎症を起こすと、膀胱が過敏になり頻尿になります。長時間のトイレの我慢や、ストレスや過労による抵抗力の低下、不衛生などが原因で起こります。・・・治療:抗菌薬・初期であれば漢方薬

4、心因性頻尿(テストの前や仕事中に緊張すると、トイレが近くなる。)・・・残尿感などの他の症状が無く、検査をしても特に異常がない場合は、精神的なストレスや緊張、不安による自律神経の乱れにより頻尿になる事があります。・・・治療:抗不安薬やカウンセリング

5、前立腺肥大症(中高年男性で、尿の勢いが弱い、残尿感、トイレが近い症状がある)・・・男性には前立腺が膀胱のすぐ下にあり、これが肥大することで尿道や膀胱の出口を圧迫して、尿の通りを悪くし、膀胱を刺激します。出し切れない尿が残っているため、残尿感、頻尿の症状が現れます。・・・治療:α遮断薬・抗男性ホルモン薬・前立腺除去手術・漢方薬

いずれの場合も、冷えは禁物。身体を暖かくして冷たいものを控えることが大切。その上で、漢方薬を証に合わせて服用することで気になる症状の改善が期待できます。良くなるまでの過程で、必要であれば尿とりパットを使うなどして精神的な負担を軽くすると功を奏することがあります。

☆骨盤底筋体操:①膣、肛門をお腹に引き込むようにイメージして力を入れる。(座り、立ち、あお向け、よつんばいのいずれかの姿勢でもよい)→②身体に手を当てて、その筋肉が動いていないか確認する→③力を入れて数秒~数十秒数え、力を抜いて少し休み、また力を入れる。※毎日3ケ月以上続ける。

☆膀胱訓練:尿意を我慢する練習を短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていく。最初は5分くらい我慢し、1~2ヶ月かけて最終的に2~3時間我慢できるようになれば目標達成。訓練と併せて排尿日誌をつけてみましょう。排尿日記には排尿した時間、尿の量(通常200~300ml)などを記載します。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

『じゃがいものビタミンCは加熱しても壊れ難い』と聞いたことがあります。どうしてか調べてみました。

それは、『じゃがいもの中のビタミンCは、周りを囲んでいるデンプン質に守られるため』だそうです。ちょっと物足りない説明ですが、丸ごとゆでた場合で80%、揚げた場合で90%残存するとのこと。また、電子レンジで加熱した場合には、ビタミンCはマイクロウェーブを受けても振動せず温度が上がらないのでさらに壊れ難いとのこと。

じゃがいもに含まれるビタミンCの量は結構多く、g当たりで比較するとみかんと同じか少し多いくらい。レモンと比べるとグッと下がりますが、リンゴの何倍も含んでいます。

また、じゃがいもはビタミンCの他にも,ビタミンB2・B6も沢山含んでいます。ビタミンC、B2・B6は、粘膜を正常に保つのに必要な栄養素。口内炎など粘膜が荒れているときには積極的に摂ると良いようです。

      ~薬剤師 鳥居英勝~