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今日の下野新聞・くらし面に、興味深い記事が載っています。

『乳幼児にビタミンD欠乏症が増加している。理由は、母乳栄養の過度の推奨、日光浴不足、食べ物の問題。』というものです。理由の詳細は・・・

母乳栄養:母乳を与えることは、免疫を高めたり母子の絆を強めたりと優れた点が多い反面、ビタミンDの含有量が人工のミルクに比べ格段に少ないという短所がある。

日光浴不足:ビタミンDは、日光を浴びることにより皮膚でも合成されるが、震災以降外遊びを嫌ったり、皮膚がん・しわ・しみになるのを気にして日に当たる時間が減っている。※関東では、夏は1日10~15分、冬は1時間程度を目安に日光浴を行うことが望ましい。

食べ物の問題:放射性物質を気にして、ビタミンDが豊富に含まれるキノコや魚の摂取を制限していること。アトピーで卵や魚を制限している子供はより注意が必要。

ビタミンDは、食事で摂取したカルシウムが小腸で吸収されるのを促進したり、いったん腎臓を通過したカルシウムの再吸収を促すことに欠かせない栄養素です。そのため、ビタミンDの欠乏は血液中のカルシウム濃度の低下を招きます。そして、1歳未満の乳児では、全身性のけいれんや、頭がい骨の軟化などの症状が現れる『ビタミンD欠乏性低カルシウム血症』の発症に、1歳過ぎの乳児では、O脚や低身長などが特徴の『ビタミンD欠乏性くる病』を発症することになりかねません。

ただ、これらの病気は適度な日光浴や食事、人工ミルクからの積極的なビタミンD摂取を心掛ければ予防できると記事では締めくくっています。

~薬剤師 鳥居英勝~

黄斑変性症が増えているそうです。増えている原因は『高脂肪食とブルーライト』とのこと。

高脂肪食は動脈硬化につながりますし、ブルーライトは眼を酸化させます。動脈硬化に酸化が加わると、肥厚した血管はより固くなり血が通りにくくなる。そもそも高脂血症で血がどろどろになっているところで血管が閉塞してくると、そこから血が漏れ出したり、バイパスを作るように新しい血管が生まれる。これが網膜の中の、ものを見る上でとても大事な黄斑というところで起きると、眼が見えにくくなっていく。以上が、高脂肪食とブルーライトにより黄斑変性症が増える大雑把なメカニズムといえると思います。

パソコンはともかく、ブルーライトはテレビからも出ているらしいので、子供のうちから見ていれば相当受けているはずです。飽食とテレビ・パソコンには若いうちから注意しなければいけないようです。

さて、原因がはっきりしていれば予防策も考えられます。『まごわやさしい』に配慮した和食中心の食事を心がけて、血液をサラサラにしておくこと。『抗酸化物質』を早い時点から摂取して細胞や血液の酸化を防ぐこと。この二つがカギになるのではないでしょうか?

抗酸化物質には色々なものがあります。ビタミンC・Eや、各種フラボノイド、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなどが良く知られています。果物や野菜にも含まれています。

これら抗酸化物質には当然強弱があります。折角なら安全で効果の優れたものが良いことはいうまでもありません。調べたところ、イチョウ葉エキス由来のフラボノイドの抗酸化力は抜きん出ているようです。

イチョウ葉エキス製剤には多くの製品ありますが、玉石混交なのが現状のようです。原料として使われているイチョウ葉の品種・採取時期・成分の抽出技術によって、抗酸化力はまちまちです。また、イチョウ葉に含まれている有害物質がちゃんとカットされているかも確認しなければなりません。☆当店では、ドイツシュワーベ社製のイチョウ葉エキスを選定し、推奨しております。☆

※『まごわやさしい』とは・・・まめ・ごま・わかめ・やさい・さかな・しいたけ(キノコ)・いもの頭文字。

※中医学では、黄斑変性症の対応として、主に『活血化お=血の滞りを解消する』をとります。

~薬剤師 鳥居英勝~

先日届いた日本栄養食料学会誌に興味深い記事が載っていました。『葉酸摂取量が150μg/1000kcalである日本の妊娠女性の半数以上がカットオフ値を維持できている。』というものです。

これだけだと何を言っているのかさっぱりわかりません。詳しく解説すると、『ほとんどの日本人妊婦の葉酸摂取量は、食事摂取基準で策定された推定平均必要量は400μg/日に達していないにもかかわらず、葉酸欠乏症の報告はない。そこで、葉酸摂取量が250μg/日である妊娠初期・中期・末期・出産一か月後の血漿中葉酸濃度・赤血球中葉酸濃度を調べたところ、平均値は各期においてカットオフ値付近あるいはそれ以上だった。』ということ。

ざっくばらんに要約すると、『妊婦は葉酸を1日に400μg摂りなさいと言われているけれども、250μg摂っていれば、とりあえず2人に1人は体内の葉酸量には問題がない』ということのようです。

このことからは色々な解釈ができると思うんですが、女性にとって葉酸を十分量摂ることは大切なことです。というのも、『葉酸は胎児の神経の発達に欠かせない栄養素』だからです。さらに最近は、『妊娠する以前から葉酸が不足して女性は、出産後に骨密度が低下する』というデータも出ています。推奨量は成人女性で240μg/日、妊婦で440μg/、授乳婦で340μg/日、妊娠の可能性のある女性やこれから妊娠を考えている女性は400必要とされていますので、それを目標として積極的に摂ることが望ましいと考えられます。

葉酸をサプリメントで補っている方も多いと思いますが、葉酸には合成型と天然型があるのをご存知でしょうか?合成型は天然型に比べて吸収率が半分とのことです。どうせ選ぶなら天然型の製剤を、天然型を選ぶなら原材料が有機栽培のものを選ぶと良いと考えています。

☆私どもでは、原材料が有機栽培の天然型の葉酸製剤をおすすめしております。1日3Capで400μgの葉酸が摂取できます。☆

~薬剤師 鳥居英勝~

食べ物の形とその効用を調べると面白ことがわかります。

このところ連続して載せている『補腎』に働くといわれている食材の一つに、クルミの実があります。クルミの実は、良く見ると『脳みそ』や『陰嚢』に似ていないでしょうか? 脳みそは脳髄、陰嚢は生殖器ですから、ともに腎が司るところです。まさに『クルミの形=脳・陰嚢⇒腎』がつながります。

このように、ものの形からその効用を連想するのは、実は食養生の基本なんだそうです。形をみて、この食べ物は何に効くかを想像して、試してみる。結果が良ければ、最初は想像だったことが事実になるということ。

今から15~6年前に、ある中医師が『みかんの渋皮は血管が張り巡るようだから、そっち方面で利用できそうだ』と語っていたのを覚えています。その時はそんなものかな~と軽く聞き流していました。が、今ではみかんの渋皮にはヘスペリジン(ビタミンP)がたくさん含まれていて、この物質には血流を良くする働きがあることがわかっています。そして、現在ヘスペリジンを含有した健康食品が多く出来ています。

このように、最初は想像から始まった経験則だったり、もっと単純な日常生活から見出された経験則が事実化したことが、後になってその根拠が科学的に証明される。これが食養生の成り立ちのようです。おそらく新薬の開発も、長い歴史の中でこのような経緯から得られた『経験』からヒントを得ているところも多いのではないでしょうか?

『ものの形から作用を想像する。科学的な根拠は後からついてくる。』柔軟な発想が大切ですね。

~薬剤師 鳥居英勝~

ここ数日、『補腎』のことを紹介しています。ざっくり分類すると、腎には腎陽と腎陰があり、それぞれ機能と器質を担っています。例えば、高齢者に多く見られる夜間頻尿は機能的なトラブルということができますが、これは腎気虚や腎陽虚によるものと考えます。また、髪が抜ける・歯が弱い・骨がもろい・脳が弱いなど器質的なトラブルは腎陰虚によるものと考えます。☆腎に限らず気血陰陽は密接に絡み合っているので、臨床では程度の差こそあれ陰陽両方に問題があることが多いものです。

ふと、『亀板(きばん)の一件』を思いだしました。亀板とは、亀の甲羅を煮詰めて固めたもので、代表的な補腎陰剤です。色は真っ黒。独特の方法で煎じて服用します。先日、『黒い食べ物は腎を補う』と記しましたが、この亀板はまさにその通りです。

今から20年以上も前のことですが、この亀板を中国南部の南寧市というところにある生薬市場で見つけ、お土産に持って帰ってきたことがあります。帰国後さっそく薄毛を気にしている知人に差し上げたところ、いそぎ箱から出してそのままくわえだしてしまいました。どうなるかしばらくみていたら、亀板は一向に溶ける気配がなく表面が少し滑らかになる程度。そんな飲み方をしても意味がないんだけどなと思いながらも、しばし見守っていたのを思い出します。数か月後に会ったところ、やはり効き目はなかったようです。

☆実際に、十分な栄養をとりながら身体に合わせた補腎を行うと髪がしっかりしてきます。新しい毛が生えるかどうかはわかりませんが、とにかく髪が強くなって元気になることは間違いありません。強くなるんということは毛根もしっかりするということ。きっと抜けにくくもなるだろうと思います。☆

~薬剤師 鳥居英勝~

先日ここで、『東洋医学的には、補腎することがアンチエイジングにつながる』ことを説明しました。そこで今日は、具体的な『補腎策』について述べたいと思います。

腎を補うには、何といっても第一に、漢方薬の補腎剤を服用することがてっとり早い方法です。補腎剤としては、八味地黄丸・六味地黄丸などがよく知られていますが、他にもいくつもあります。身体に合ったものを、じっくりと続けることが大切です。また、強壮生薬といわれるものには補腎剤が多く、それらが配合された栄養剤も助けになると思います。

そして忘れちゃいけないのは毎日の養生です。精根尽き果てるなどといいますが疲れすぎは腎精を消耗してしまうので要注意。栄養不足もよくありません。房事過多(性生活のし過ぎ)も腎を傷めるので用心する必要があります。腰を冷やすのもよくありません。要するに、頑張り過ぎず・あたたかくして・ちゃんと栄養を摂っていれば大丈夫ということです。

また、薬膳では黒い食べもの(黒ゴマ・黒豆・木耳など)は腎を補うと言われています。それらを積極的に摂ると良いでしょう。

☆腎は生殖器を司るところですので、これが虚すると男性女性を問わず不妊症の原因になります。特に若いころに不摂生をした人などは、腎が消耗し生殖機能が落ちていることも考えられます。子宝相談でも、腎虚のケアーは重要な要素になります。☆

~薬剤師 鳥居英勝~

今朝のNHKのニュース番組で気になる報道がありました。それは、『学生の女性スポーツ選手にアンケートを取ったところ、無月経から疲労骨折に至るケースが多い。原因として、過度なダイエットが考えられる』というもの。陸上の長距離選手など、激しい減量を要するスポーツ選手には多く見られる一方で、バレーボールなどダイエットの必要がない競技に取り組む選手では割合が少なかったと解説されていました。

これを東洋医学的に分析すると、次のようになります。過度なダイエット=気血を消耗する⇒さらに激しいトレーニング⇒さらに気血が消耗・・・ここで栄養と休息をとって養生しなければいけないところで無理を重ねると⇒気血が回復せずむしろ陽気陰液を損耗⇒腎精が虚してしまう。

腎はホルモン、生殖器、骨を司ると考えます。無月経はまさにホルモンバランスの崩れからの生殖器のトラブルですし、疲労骨折は女性ホルモンによる骨を守る力が弱まることによる骨密度低下によるものです。共に腎虚で起きる症状です。

このように、『過度なダイエット+激しい運動をする選手が、無月経から疲労骨折に至ること』は、東洋医学的にはきれいに説明がついてしまいます。さて、問題はこのような症状に至った方たちが、今後どのような経過を辿るかということです。

月経のトラブルがあるわけですから不妊症に至ること、骨密度低下があるわけですから骨粗しょう症になりやすいこと、このことは容易に想像がつきます。さらに怖いのは、頭の働きの低下です。腎精不足で現れる症状には段階があります。最初はホルモンバランスの崩れによる月経の異常など機能的トラブル、次の段階では骨密度低下など器質的トラブル、そして器質的トラブルの最後には脳の働きの低下がまっています。すなわち、放っておくと集中力低下や学習能力の低下、ゆくゆくは認知機能の低下になりかねません。

若いスポーツ選手は、今が大事で結果を求める。これは当然のことです。若さゆえ怖いもの知らず、何年もあとの体のことは、気になっても今を優先してしまう。それはわかります。ただ、『後々の健康のために、栄養と休息がとても大切である』ことは認識してもらいたいと思います。このことは、選手を指導する立場の人が着目して、指導すべきことかも知れません。

無理をしてひどくなってからでは、手遅れになる場合もあります。生理機能の不具合や骨密度低下は、ホルモン剤や骨粗しょう症薬を飲んでもなかなか正常にはもどらないことも多いようです。早い時点での養生が何よりも大切です。

☆スポーツ選手に限らず、過度なダイエットをすることは同じ経過を辿ることになりかねません。注意が必要です。☆

☆☆☆不具合を起こさないための予防、起こしてしまった後のケアーには、東洋医学的治療が功を奏すると考えられます。消耗しそうな、あるいは消耗してしまったもの(気血陰陽)を補い、栄養素をしっかりとる。もちろん毎日の食事と休息も大事。これらが基礎となります。必要な場合には、そこに治療薬が合わされば相乗効果が得られるでしょう。何度も言いますが、早い時点からの養生が大切です。☆☆☆

~薬剤師 鳥居英勝~

三条市の学校給食から牛乳が出されなくなるとのこと。

何年も前からパンからご飯食が中心となっていてそもそも牛乳が合わないことと、価格の問題で牛乳が出せなくなるのが理由とのこと。牛乳中止で不足する恐れのあるカルシウムは、ほうれん草のおひたしを胡麻和えにしたり、食材にワカメなど海藻類を増やすことでカバーするそうです。

以前もここでご紹介したことがありますが、『ここ数年、牛乳は嗜好品として少量飲むことは問題ないが、主たる栄養源として毎日大量に飲み続けると体に負担になる』といわれています。理由は、『アレルギー・・・牛乳は人間にとって異種タンパクを多く含むので、飲むと人はアレルギー反応を起こす。骨粗しょう症・・・アレルギーを起こすと体液は酸化する。そうすると酸化した体液を中和しようと骨からカルシウムが溶け出す。それが長期間続くと骨密度が低くなる。ホルモンの問題・・・牛乳が生産される際に、乳牛にホルモン剤が使われる場合がある。それが牛乳に移行すると人体にも取り込まれてしまう。このことが、近年女の子の初潮が早くなっている一因ではないかと言われている。』

このように健康に対してリスクのある牛乳を排して、代わりに海藻や胡麻を摂る。これは、とても良いことかも知れません。理想の健康食であると注目されている『まごわやさしい(豆・胡麻・わかめ=海藻・野菜・魚・椎茸=きのこ・芋)食』により近付きます。

以前より私は、『学校給食からトランス脂肪酸を減らしてほしい。オメガ3系脂肪酸を使うようにしてほしい』考えています。コストはかかることになるでしょうが、間違いなく子供の身体と脳の健康な発育につながりますし、長期的にみれば食の嗜好性が良くなって生活習慣病を起こしにくい食習慣が身に付くことになることと思います。このことは、医療費の軽減にも寄与すると考えられます。

学校給食から牛乳が出されなくなることは、牛乳の生産や流通にかかわる方々からすると辛いことだと思います。ただ近年の栄養学からみれば、子供たちにとっては良いことだと言うことができます。

うちには2人の子供がいますが、子供たちには私は、牛乳は飲ませないようにしています。そしてどうしても欲しがる場合にはほんの一口を、『おいしい飲みもの』として楽しむために与えています。これで、子供たちは何の不満もなく、また何の問題もなく育っています。

~薬剤師 鳥居英勝~

昨日このブログで、『五行の概念からすると、春は怒りっぽくなりやすい季節である』ことをご紹介しました。五行では、感情の他にも五臓六腑、色、体の部位、味などを季節と関連づけています。それに従って、春について身体に関わるところをもう少し詳しくみていくと・・・

『春は肝胆・青・筋・爪・眼・酸などと関係が深い』ということができます。

これによれば、『春は筋成長し、爪がのび、眼の働きが良くなるのにいい季節である。ただしこの時期に養生を怠ると、それらのトラブルを起こしやすい。』ということになります。

この時期の養生法としては、第一に『血を養う』ことが大事になります。※肝は血を蔵する器官であり、血を十分に宿すことができれば、筋肉・爪・眼にたっぷり栄養が届き、それらが順調に成長するとの考えから。

また、春の五味である『酸』のもの、すなわちすっぱいものを食べることも肝の働きを整え、筋をやわらかくのびやかにするのに役立つといわれています。

☆東洋医学では、整体観念といって、人間を自然界の一部と考え、生命活動や身体の部位を、自然界と関連づけて考えます。五行は、これをわかりやすく整理したものです。これは長い時間をかけて自然現象と生命活動を観察して得られた経験則であり、理解しておくと一年を上手に過ごすのに役立ちます。

~鳥居 英勝~

全国野菜摂取量調査によると、栃木県民の野菜摂取レベルは・・・

男性9位(324g) 女性12位(303g)となっています。

健康な生活を送るには、1日350g以上(内緑黄色野菜が120g)の野菜摂取がすすめられています。意外なことにいろいろな野菜の産地である栃木県でも、野菜不足になっているんですね。

小さい子供でも花粉症を発症する時代です。花粉症、身体のかゆみなど、アレルギー体質に由来する症状が出ていると、集中力も続かず発育上問題が発生しないとも限りません。小さい子供を持つ親として、このような時代に子供に何をしてあげるべきかを改めて考えさせられます。

直接的に手をかけてあげられることとして、私は「食べ物の工夫」があると思います。

アレルギーは体液が酸性に傾くとひどくなり、アルカリ性に傾くと改善するといわれています。一般的に青い野菜やカルシウムは、身体をアルカリ化することが知られています。緑黄色野菜や、カルシウムをはじめとしてミネラルを多く含む海藻などは、液性を整えるのにとても良いでしょう。

逆に、甘すぎるもの、脂もの、牛乳、トランス脂肪酸を含むジャンクフードなどは、身体を酸性に傾けることがわかっています。トランス脂肪酸にいたっては、体内に蓄積し、それ自体が酸化されて動脈硬化の原因になるといわれていますので注意が必要です。

まさに花粉症真っ盛りの今、栃木県民は野菜が足りていないという記事を目にして、改めて食養生の大切さを感じました。

~薬剤師 鳥居英勝~