自然放射線と人工的に造られた化学物質からの放射線は、人体への影響が違うときいたことがあります。どうしてなのか調べてみました。

自然放射線:宇宙から、地中から、体内からのものの3つに分けられる。宇宙からくるものはおもにγ線と中性子線であり、透過性が高い放射線である。地表に着くころには大気の影響で非常に弱くなっていて、外部被曝を考慮するほどのレベルではないし、もちろん内部被曝を気にする必要は無い。地中からのものは主にラドン、ラジウムなど。主にα線を出す。ガスとして噴出したり、花崗岩に含まれる。ガスの噴出口近くに長期間いるような場合には内部被爆の考慮が必要。ただ、そのような環境にない以上、せいぜい花崗岩から出てくるα線のみ気にすればよい。α線は内部被曝が気になるが、花崗岩を食べる事はないので心配ない。外部被曝も気にする事はない。

人工化学物質放射線:今回の福島原発の事故で有名になったヨウ素とセシウムはβ線とγ線、ストロンチウムはγ線を出す。ちなみにプルトニウムはα線を出す。今回被曝の原因となる物質としては前者3つを考慮する必要がある。それらは、ホットスポットで知られるように身の回りに高レベル濃度であったり、食品中に高レベルである可能性がある。もしそのような場合には、透過性の高いγ線は外部被曝を及ぼし、透過性の低いβ線は高エネルギーによって内部被曝を及ぼす。γ線も長時間放射し続ける事を考えると、特に大量に取り込んだ場合には内部被曝を及ぼす危険性が高くなる。

※体内からのものについては、主にK40やC14からのβ線を考慮する。微量ではあるが常にβ線を出していることは知っておくべきである。人体への影響があるレベルかどうかは不明である。

よって、原発事故によって大量に人工化学物質が放出された場合には、身の周りに大量にそして長期間存在する可能性が高いことを考慮すると、自然放射線に比べて内部被曝・外部被曝両面において危険であると考えられる。仮に、測定したときに同レベルであったとしても、飛散した化学物質は内部被曝につながる可能性が高く、危険性が高いと考えられる。

      ~薬剤師 鳥居英勝~