冬はたくわえの季節。
秋にとれた収穫物を貯蔵し、長い冬に備えるのと同じように、人の体もまたたくわえが必要です。
体の中で、「蔵」の役割をはたしているのは「腎」という臓器です。
冬は腎をいたわり、守る生活がなにより大切です。

腎を守るためは、生活のペースを少しゆるめて、できるだけ穏やかな気持ちですごせるようにしましょう。
忘年会や新年会など何かとイベントの多い季節ですが、食べすぎ、飲みすぎには注意しましょう。
また、暖房の使いすぎは発汗につながり、汗と一緒に体のエネルギーが消耗してしまいます。
その上、汗腺が開いたときに外の冷気にあたると風邪を引くことにもなりまねませんので注意が必要です。

食べ物では、米や麦などの穀類やニンジン、大根、イモなどの根菜類でしっかりとエネルギーを蓄え、栄養補充をすることが重要です。
また、冬におすすめの食材としては、羊肉、牛肉、エビ、生姜、ニンニク、ニラ、黒キクラゲなどがあります。
塩辛いものは腎の機能を乱してしまうことがありますので、取りすぎには注意しましょう。

寒い冬におすすめの飲み物として、紅茶があげられます。
茶葉には体を冷やす性質がありますが、茶葉を発酵させてつくる紅茶ならば安心です。
また冷えが気になる人は、体を温める黒砂糖や生姜を紅茶に加えて飲むのもいい方法です。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

秋は呼吸器と密接な関わりがある季節です。
ぜんそくや鼻炎はもちろん、アトピーも肺と密接な関係にあります。
このような疾患を持っていない方でも、乾咳や声がれ
などのトラブルで悩む方が多くみられます。

空気が乾燥して肺の潤いが不足しがちになるこの時期には、呼吸器を鍛えるとともに、肺を潤す食べ物を積極的にとることが大切です。

呼吸器を鍛えるのにもっとも手軽で有効な方法は、深呼吸です。
気持ちをリラックスさせて、静かに息をはききり、そしてゆっくりと息を吸います。とても簡単なことですが、これを繰り返すことで呼吸機能を着実に高めることが出来ます。

肺を乾燥から守るためには、十分な潤い補給が必要です。といっても、単に水をがぶがぶ飲むだけでは、肺をうまく潤すことはできません。
肺を潤す作用がある百合根、梨、レンコン、白キクラゲ、ハチミツ、白ゴマなどを適度に食生活に取り入れるのが上手な方法です。
緑茶もこの時期の水分補給にはぴったりの飲み物です。飲みすぎると体を冷やすこともありますので、冷え性が気になる方はほうじ茶を飲むと良いでしょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

余分な水分がたまっている痰湿タイプ。
太り易い、いつも眠い、からだが重くだるい、口が粘る、むくみがあるなどが特徴です。
不摂生な食生活を送っている人や、胃腸のはたらきが弱い人に多くみられます。
また、梅雨など湿気の多い気候も発症の一因です。

このタイプの人は、からだの中の余分な水分を追い出し、胃腸の働きをしっかりさせることが大切です。

むくみやすい人は、ハトムギ、小豆、三爽茶など、余分な水分を追い出す作用のあるものを積極的にとるとよいでしょう。
また、食べすぎたときには、大根、タマネギ、サンザシなどがおすすめです。

そして大切なことは、決して胃腸の消化力を上回るほどの過食をしないことです。
また、お酒の飲みすぎ、あぶらっこいものや甘いもの、甘い清涼飲料水のとりすぎにも気をつけましょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

冷えがある陽虚タイプ。
寒がり、手足がいつも冷たい、下半身が冷えやすい、顔が青白いなどが特徴です。

このタイプは、生活習慣と大きな関わりがあります。
冷えをよせつけない生活をこころがけ、冷たい飲食物のとりすぎ、薄着、夏の冷房などには十分注意するようにしてください。

冷えを改善するためには、からだを温める「陽気」を養うエビ、羊肉、牛肉、生姜、ネギ、ニンニクなどを上手に食生活にとりいれるといいでしょう。
また、春や夏に羊肉のスープや鍋料理を食べるという方法も、季節の陽気を利用する方法として有効です。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

からだの潤いが不足している陰虚タイプ。
のどが渇く、寝汗をかく、手のひらや足の裏がほてる、肌が乾燥しやすいなどが特徴です。

心身ともに過労気味の人や、糖尿病を患っている人に多くみられます。また、加齢もからだが潤い不足になる要因のひとつです。

このタイプの人は、空気が乾燥し始める秋に備えて、夏の終わりごろから新鮮な野菜や果物で潤いを補給するよう心がけましょう。
また、梨、柿、百合根、クコの実、白キクラゲ、ハチミツ、ゴマなど、体を潤す作用をもった食材も適度に食生活に取り入れましょう。
ヤマイモやオクラなどもおすすめです。

逆に、体の潤いを奪う唐辛子などの香辛料は決して食べ過ぎないように気をつけてください。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

気のめぐりが悪い気滞タイプ。
ゆううつ感がある、イライラする、ストレスに弱い、脇やお腹が張ったように痛む、月経前になるとイライラするといった症状が特徴です。

特に、春は精神症状を悪化させやすい季節なので注意が必要です。

気滞タイプの方は、香りがよく、気をめぐらせる作用のある食材をとりましょう。
紫蘇、三つ葉、春菊、セロリ、陳皮(ミカンの皮を乾燥させたもの)、スパイス類などがおすすめです。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

エネルギーが不足している気虚タイプ。
疲れ易い、元気がない、少し動いただけで汗が出る、食が細い、朝なかなか起きられないなどの症状が特徴です。

このタイプの方は、過労を避け、胃腸に負担をかけない生活を送ることが大切です。
夜更かしや暴飲暴食はもってのほかです。

毎日の食生活では、米、豚肉、鶏肉、卵、ヤマイモ、ジャガイモ、豆腐などを、食べすぎない程度に食べると良いでしょう。
また、長く煮る調理法が良いとされていますので、煮物やスープ、おかゆなどを中心にすると良いようです。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

血のめぐりが悪い瘀血タイプ。
肩こりや頭痛がひどい、顔色がどす黒く、目の下にクマがある、月経痛がひどいなどの症状が現れることがあります。

放っておくと、子宮内膜症や子宮筋腫など、さまざまな婦人病の原因になったり、妊娠や出産、更年期などに影響が出る可能性が高いので、決して軽く見るべきではありません。

瘀血タイプの方は、血のめぐりをよくするために、冷えやストレスを寄せつけない工夫が必要です。
食生活では、サバやイワシなどの青魚や、ニンニク、ラッキョウ、タマネギ、トマト、ベニバナ、サフランなど、活血作用をもつ食べ物を取り入れると良いでしょう。お酒もほどほどならいい薬になります。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

血が不足しがちな「血虚」タイプ。
血色が悪い、肌や髪のつやがない、爪がもろい、めまいや立ちくらみがあるなどの症状が出ることがあります。
放っておくと、ホルモンのバランスを崩し、女性の場合は生理不順・無月経にもなりかねません。

原因はさまざまですが、若い女性に多いのは、偏食や無理なダイエットが引き金となるケースです。

血虚を改善するための食事は、何といってもバランスよく何でも食べることが大切です。
その上で、血を補う作用をもつクコの実、黒ゴマ、黒砂糖、ほうれん草、小松菜、ニンジン、ナス(皮のまま)、レバー、鶏肉、小豆、金針菜などを適度に取り入れると良いでしょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

寒い冬は「乾燥」と「室内外の温度差」が大きな季節。
お肌への刺激が多くて、いろいろな皮膚病が活発になります。

特にこの時期に多く見られる乾燥肌は、
皮膚表面の汗腺から分泌される皮脂による皮脂膜形成が不十分
→お肌のバリア機能が低下
→刺激を受け易い、体内・皮膚水分の蒸発促進
→お肌の乾燥
このようなメカニズムで起こります。

湿度・温度の外環境以外の原因としては、食事の偏り、遺伝、ストレスなどが考えられます。

予防として大切なことは、何といっても保湿です。
同時に正しい食事による栄養のバランスを整えることも大切です。

乾燥肌を放っておくと、ニキビ・吹出物、皮脂減少性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症など様々な皮膚病の原因になります。
乾燥肌が気になる方は、保湿とバランスの取れた食生活を続けることで、肌を内側と外側からケアーして正常化することが大切です。

       ~薬剤師 鳥居英勝~