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昨日は夜泣きの対応について述べましたが、それに続けて『あがり』について考えてみます。『人前で話すときにあがってしまう』や『大事なときにあがって緊張しすぎてしまう』などが、悩みとまではなっていなくても何とかしたいと思っている方は結構多く、当店でもたまに相談をお受けします。

あがることへの対応として、漢方的には証に合せて肝を通したり、心を整えたり、それと合せて脾や腎を補ったりということが基本の対応になると考えています。それとは別に、感情で何とかコントロールする方法はないでしょうか?

私は、『あがること=考えて恐れてしまうこと』といえると思います。そういえば以前読んだ本に、『不安を感じる前に動け!』と書いてあって、なるほどと思ったことがあります。確か、アラブの商人の伝記だったと記憶しています。

とはいっても、感情はそう単純なものではありません。準備の段階から色々考えているうちに、不安になって、それが過ぎるとあがりになる。

ここで気付いたことがあります。あがりのメカニズムが、考え(思う)て不安(恐れ)になることであれば、それらと関わる臓腑すなわち“思う=脾、恐れ=腎”を強めれば何とかなるのではないでしょうか?

大事なことを前にして、無心でいるなんて凡人にはできません。よっぽど場慣れしていたり、達観していない限り無理でしょう。そのような境地に至るまでの支えとして、日頃から大事なときにそなえて脾と腎を強くしておくと良いと考えられます。

脾・腎を補う漢方の方剤は、日本にも何種類かあります。また、漢方以外の基礎薬といわれるものも、脾と腎を強める支えになるでしょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

あがり症の方におすすめのお薬があります。アロパノール内服液という漢方製剤です。

アロパノールは抑肝散という方剤のお薬です。抑肝散という漢方薬は、これまでも色々なメーカーから発売されているのですが、アロパノール内服液は日本初の液体の抑肝散製剤です。液体なので、吸収率抜群。即効性があります。

人前で話すときや、会議、試合の前など、だれでも緊張するものです。適度な緊張は必要なことですが、緊張し過ぎるのは何とかしなければいけません。

大事な時にあがってしまう方、大切な時に十分に実力を発揮したいとお思いの方、ここ一番というときに試してみてはいかがでしょうか?

【アロパノール内服液:30ml×3本入(1日分又は3回分) 1,575円】

効能・効果:体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

インフルエンザが流行しています。今年の主流はA型のようです。

さて、インフルエンザの予防として、日頃の養生・うがい・手洗い・予防接種が大事であることはいうまでもありませんが、いざ家族が罹ってしまった場合に家庭内で感染が拡がるのを防ぐためにはどうしたら良いでしょうか。私は次のことが大切だと思います。

①全員マスク着用②出来るだけ接触を避ける③罹った人が使用した食器の除菌④病人が使用したティッシュなどを密閉して破棄する④二塩化酸素製剤の室内えの噴霧⑤携帯用二塩化酸素製剤の使用及びマスクへの噴霧⑥加湿

これらが生活する上での注意となるのではないでしょうか。

また、お医者さんの処方箋が必要になりますが、条件に適えばタミフルを予防的に服用することも効果あり。市販で手に入るものとして、葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯も、万が一感染した場合に症状が出始めてからすぐに服用すると治るのがグーッと早まります。

実際5歳になるわが子にも、周りに罹った子がいてインフルエンザの感染が疑われたとき(急な寒気を訴え始めたとき。この時はまだ熱は出ていなかった)に葛根湯を成人量服用させたところ、顔が一気に赤らんで速やかに寒気が消失したことがあります。まさに辛温解表にて邪気を吹っ飛ばしたかのよう。このときはインフルエンザを発症せずに済みました。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

インフルエンザに注意しなければならない季節です。

漢方薬では、麻黄湯や銀ぎょう解毒丸に、ウイルス増殖抑制効果があることがわかっています。これらの抑制作用は、流行年代の新しいウイルスに対していえばタミフルをしのぐと評価されています。これらは、服用した場合ではなく煎じ液や成分を用いて試験管内で行った実験によるものです。

漢方薬は、体内で様々な作用を及ぼし科学的に解明されていない作用をもって効果を発揮するものですが、今回の実験ではあくまで試験管内ではありますが、漢方薬自体にインフルエンザウイルスを抑える効果があることが証明されたもので、画期的だと思います。また、インフルエンザを発症したときの証と、これらの漢方薬が適応となる証が一致していることも面白いことだと思います。

インフルエンザにかかったかなと思ったら、その時点での悪寒、発熱の進展と程度、汗の出方、体の痛みをみながら、適当な漢方薬を選択して服用すると功を奏することが期待できそうです。

一方で、これまでインフルエンザ予防に良いとされていた板藍根については、これ自体の煎じ液にはインフルエンザ増殖抑制効果はないことがわかったとのこと。ただし、板藍根はお茶としてうがい用としてのどの洗浄に用いることが多く、その様に使用した場合にはウイルスや細菌を洗い流すのには有効。また、服用した際には試験管内の実験では確認できない抗ウイルス作用があることは否定できません。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

本日、新しい作用機序の便秘薬が薬価収載されます。作用機序は、腸の中に水を生み出させることで便を出し易くするというもの。臨床試験の段階では、6割の方に効果があったそうです。

ただ、“どのような年代の方”に、“どのような経過をたどった便秘の方”に、“これまでどのような便秘の治療をされてきた方”に、すなわち“どのようなタイプの便秘の方”を対象にして行ったかは不明。便秘のタイプを良く見定めた上で、有効が見込めると考えられる方に使うべきだと思います。1錠あたり105円程度と値段は高めかなとの印象です。

さて、『腸の中に水を生み出させる』ことは、漢方の便秘薬では至極あたりまえの考え方です。例えば『潤腸湯』など、名前からしてその働きが連想される方剤があります。

この他にも、『麻子仁丸』なども腸を潤す便秘薬として知られています。この方剤は、連用しても慣れ難く、高齢な方でも安心して服用できるのでとても便利なお薬です。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

猛暑の後には、咳と肌のトラブルが起き易くなります。それは、夏の暑さで大汗をかいたために津液(水分)が消耗されて、身体が乾いているため。夏の間暑いとすぐにクーラーの部屋に入ってしまい十分に発汗できなかった方も、身体に熱が溜め込まれていてそれが津液を消耗し、乾きによる症状が起きる場合もあります。

このような状態ですと、秋から冬にかけて、肺が弱い方は肺の乾きによる乾咳、皮膚が弱い方は肌乾燥によるカユミが起きやすくなります。

対応としては、何といっても保湿が肝要です。乾咳に対しては加湿器を使って室内の湿度を高く保つ、マスクをして肺を寒冷・乾燥から守ること。カユミに対しては、入浴後速やかにクリームなどを塗って保湿することが大切。

それぞれ、麦門冬湯・滋陰降火湯、当帰飲子などを中心とした潤す漢方薬を服用すると功を奏することが期待できます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

漢方薬を始めとして、東洋医学に関心をお持ちの方も多いと思います。

東洋医学は、2つの大きな柱から成り立っています。1つは『漢方薬』、もう1つは『鍼灸』で、漢方薬は服薬による『内側からの治療』、鍼灸はハリとお灸による『外側からの治療』ということができます。

これらは、同じ考え方を基礎としてそれぞれ発展を遂げてきたもので、『この2つを上手に組み合わせることで、相乗効果が得られ、より高い治療効果を得る』ことができます。

私共は、お客様のお身体を、薬剤師と鍼灸師がそれぞれ専門の視点で分析し、かつ互いに協議しながら、『必要に応じて漢方薬と鍼灸を融合させて、より高い治療効果が得られるようなご提案と治療』をさせて頂いております。

気になる症状でお悩みの方は、お気軽に鳥居薬局・とりい鍼灸院にご相談下さい。

      ~鳥居薬局・とりい鍼灸院~

先日の健康セミナーは、盛況にて行う事が出来ました。お忙しい中お越しになられた方々、本当にありがとうございました。

さて、捻挫や打撲などの怪我は、予期せずにおこるものです。実は私も昨日、足首の捻挫を起こしてしまいました。腫れと色の変化からすると、腱も何本か切れたようです。理由は高いところからの着地によるもの。子供を抱きながら跳んだために相当な付加がかかったようです。

急な捻挫や打撲などの炎症性症状の場合、初期対応が大切になります。アイシングと湿布によって急性の炎症を鎮めること、安静及び固定、消炎鎮痛剤による内側からの治療などが大切になります。

ここでもう1つ大事な治療があります。それは、漢方薬を服用することオ血や湿をさばくこと。これを合わせることで、ドス黒くかつ腫れている状態は速やかに解消されます。また、これにより炎症が早く引き、痛みも減り、症状の回復が早くなります。

この場合に服用する漢方薬は、活血剤・利湿剤・清熱剤などです。症状に応じて1週間かそれ以上服用することが大事になります。症状の程度にもよりますが、通常の生活を取り戻せるまでの期間は相当早まることが考えられます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

湿気の多い時期は、寒い時とならんで“痛み”がひどくなりやすい季節です。

この時期の養生法としては、身体を冷やさないことが大切になります。身体を冷やしてしまうと、血流が滞ったり水の代謝が悪くなって、体に“湿”がたまりやすくなります。そしてこの湿が、気血の流れを妨げて、そこに気滞・オ血を生み出し、その結果“痛み”を引き起こします。“不通則通”という漢方の言葉は、まさにこのことを表しています。

これからしばらくの間、“その時期におきやすい痛み”を和らげる漢方薬をご紹介して参りたいと考えております。一回目はぎっくり腰の漢方です。ぎっくり腰と湿気とは無関係ではありません。先ほどの湿→気滞・血オは筋肉の柔軟性を失わせることになるので、湿気の高い時期はぎっくり腰がおきやすいといえます。

ぎっくり腰への対応を考える場合、急性期と緩解期にわけて考える必要があります。急性期の場合、何といっても大切なのは安静。横になるなど楽な姿勢でいることが大事になります。冷シップなどで炎症を取るのも良いでしょう。漢方での対応としては、筋肉の緊張をほぐすこと、血流をよくすること、湿をさばくこと、それと補腎が大切になります。体のバランスを取りながらこれらの治法に沿った漢方を服用することで、非常に回復が早まることが期待できます。鍼灸治療を併用すると治療効果が高まります。

緩解期の対応としては、ほどよく温めることが大切になってきます。冷やしすぎると回復が遅れてしまうので、外用薬を使う場合には血管を拡げて血流を良くするものに切り替える事が必要になります。漢方では、基本的には急性期のケアーと同様の対応が必要になります。再発を防ぐために、血流をよくすることと湿をさばくことをしばらく続けて養生に努めると良いように思います。

当店には、精禍(ドッカツキセトウ加味方)と心竜(ソケイカッケツトウ加味方)という上記のぎっくり腰のケアーに沿った漢方薬があります。ぎっくり腰だけでなく、上半身・腰・下肢の痛みに対して、症と証に合わせて服用すると、非常に効果があります。

次回は、浮腫みを伴う膝などの痛みの漢方をご紹介する予定です。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

ご覧になった方も多いと思いますが、先週末の夜NHKの番組で漢方が取り上げられました。

この中で、抑肝散という漢方薬によって、認知症で起こりっぽい患者さんが服用したところイライラが落ち着いた症例と、表情がこわばって足のふるえが止まらない方が服用したところそれらが和らいだ症例が紹介されました。

抑肝散は柴胡・甘草・当帰・白じゅつ・ぶく苓・釣藤鈎からなる方剤で、平肝そく風・疏肝健脾の効によって、肝欝化風のけいれん・歯ぎしり・いらいら・不眠などを解消することに用いられます。乳幼児のひきつけ・むずがり・夜泣き・歯ぎしりに対して用いられることもあります。

近年は、いらいらや気持の高ぶりを和らげる効果を期待して認知症の患者さんによく使われるようになっています。目的は、認知症の方に多く見られる興奮・イライラを取り除いて、生活の質を高めること。

興奮が落ち着いた結果として、意思表示がしやすくなったり人の話をよく聞けるようになり、表に現れる認知症の症状が和らいだように見えるかもしれません。ただ、脳自体を回復させる薬ではないことを認識しておく必要があります。

また、ふるえに運用する場合には、詳細な弁証が必要です。漢方には、標治と本治という考え方があります。標治とは表面に出ている症状を和らげること、本治とは症状が出るに至った原因を整えること。

抑肝散は、標治にも本治にも働く方剤ですが、運用する場合には詳しい弁証が必要です。また、ふるえにはいろいろなタイプがあるので、全ての方に合うわけではありません。

認知症で服用する場合でもふるえで服用する場合でも、専門家の客観的な判断を受けてから服用することをお勧めします。

 

      ~薬剤師 鳥居英勝~