冷え性のお話し
冷え性を訴える人が増えています。冷暖房設備が整った環境や過度のダイエットなどが一因と考えられており、女性では過半数の方々が『冷え』で悩んでおられるようです。
『冷え』は血の巡りが良くないことが原因でおこります。
また、体内で『熱をつくる力』が弱いために冷えを感じやすくなることも要因となります。熱(=エネルギー)は主に身体の筋肉で作られるので、筋肉の発育が悪いと熱産生が弱く『冷え』を感じやすくなります。
さらに、特に女性では『自律神経の乱れ』から来る冷えも多くあります。自律神経は内臓・血管・心筋などを支配しているため、自律神経の不調が血管の運動障害を引き起こし『冷え』につながったり、さらには『頭痛・肩こり・めまい・動悸』といった症状を引き起こすことがあります。
男性は、女性に比べて筋肉量が多く、ホルモンバランスや自律神経が比較的安定しているために冷え症で悩む人は少ないといわれますが、近年は環境の変化や高年齢化によって増える傾向にあるようです。
『冷え性』を楽にするためには運動や入浴などで血行を良くすることが効果的ですが、それ以外に食事の改善も必要になります。
漢方では、生薬を『寒・涼・平・温・熱』の5つの性に分けており、身体の『陰と陽』のバランスがとれるように症状や体質に合わせて処方していきます。
これは、食べ物でも同じことです。食べ物の中にも身体を『冷やす食べ物』と『温める食べ物』と、そのどちらでもない『中間の食べ物』があります。暖かい地方や夏に採れる野菜・果物(トマト・きゅうり・ナスなど)は身体を冷やす作用があり、逆に寒い地方や冬に採れる食べ物(生姜・ねぎ・にんにく・唐辛子など)には身体を温める働きをするものが多いものです。
薬膳では、冷え性の改善のためには冷やす食べ物を減らし温める食べ物を多く摂ると良いとされています。ただ、身体を冷やすからといって食べないと栄養バランスが偏ってしまいます。身体を冷やす食べ物でも、生で食べるのではなくスープや温野菜などにして温めて食べることで冷えをなくすことができるものです。栄養を過不足なく摂ることが一番大切です。
☆『冷え』には、漢方薬が支えになります。
血流を良くする、末梢血管を拡張する、身体を温める、自律神経を調えるなど、お身体に合った漢方薬をご提案いたしますのでお気軽にご相談ください。
また、日常生活ではカイロや衣類などで手足などの抹消、お腹、背中、腰などを温かくして、身体を冷やさないことが大事だと思います。
~薬剤師 鳥居英勝~

