» 2011 » 7 月のブログ記事

閾値をご存知ですか?放射能の問題に際して、ニュースでも使われる事があります。

放射線の人体への影響を考える場合、2つの閾値を考える必要があります。1つは、A:体への不具合が発生するまでの閾値、もう1つは,B:細胞が害されるまでの閾値。

Aについては様々な見解があります。専門家は、それぞれ根拠のある閾値をもって、被曝しても安心である放射線量を定めます。ただ、その閾値が本当に正しいのか、甘すぎる、それは分かりません。

B:閾値は存在しません。すなわちどんなに少ない線量であっても、間違いなく細胞に損傷を与えます。

我々は現在、日々の生活で絶えず低線量の放射線により被曝しながら生活しています。それは、これから何年も先まで続くことになるでしょう。その間、細胞は常に損傷と修復を繰り返していきます。そして、損傷に修復が追いつかなくなり、それが器質的・機能的に問題が生じるようになるレベルまで達すると病気になってしまいます。

そう考えると、我々はAの閾値を低いものとしてとらえて、閾値に達しないように毎日の生活を送る必要があります。特に子供は細胞分裂が早く、大人よりも厳しい閾値で見る必要があります。外部被曝はもとより、食品・水からの内部被曝に対しても十分に注意をはらい、合わせて先に(7月26日付)述べたような食養生を行うことをおすすめします。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

知っておくと便利な放射線量の見方を記します。

外部被曝で危険なのは?・・・γ線

内部被曝で危険なのは?・・・α線とβ線。核分裂生成物にはα線を放出する核種は少ないので、β線を放出する核種が体内に入り込むことによる内部被曝が危険になる。

報道でよくきく、『今日の新宿は~~マイクロシーベルトです』は何を表している?・・・1時間当たりのγ線量を表しています。β線は含んでいません。 すなわちこの指標は、外部被曝のみについての参考になります。また、この指標は一部の放射線しか表していないので、全ての放射線被曝を考慮したものではなく、内部被曝を含めるともっと多く被曝している事になります。

 放射性セシウム、ストロンチウム、ヨウ素はβ線を放出するので、内部被曝への注意が必要になります。また、セシウムとヨウ素はガγ線も放出するので外部被曝への考慮も必要になります。

線量計(汚染検査用測定器)を選ぶときの注意は?・・・γ線測定専用(NaIシンチレーションサーベイメータ)と、β線とγ線測定用(GMサーベイメータ)があります。 NaIシンチでは、γ線のエネルギー測定ができ、通常1時間当たりの線量としてμSv/h単位で表示されます。 GMでは、β線とγ線の両方が測定できますが、それぞれの区別は出来ません。また、β線に対する感度は高いものの、γ線に対する感度は良くありません。放射線のエネルギー測定はできないので、1分間当たりにその測定器が測定できた計数(cpm)単位で表示されます。 報道で毎日目にする大気中の放射線量は、NaIシンチで測定したもので、外部被曝の指標になります。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

③取り込まれた放射性物質をできるだけ細胞に作用させないこと・・・含硫アミノ酸(タウリン・シスチン・システイン)を多く摂取することが有効です。これらは放射線感受性が高く、細胞が損傷を受ける前に放射線と戦ってくれます。同様に白血球も放射線への感受性が高く、細胞が損傷される前に放射線と戦ってくれることが知られています。この白血球の数を増やすためには人参をベースとした漢方製剤(若甦)が、白血球の動きを良くするためにはニンニク製剤(キョーレオピン)が知られています。

④発生する活性酸素を打ち消すこと・・・植物に含まれることで知られるフラボノイドには、活性酸素を打ち消す作用があります。イチョウ葉・大麦若葉・くま笹などに含まれる良質のフラボノイドを摂取することで、放射性物質が体内の水分と反応して発生した活性酸素を除去することができ、その結果、DNAや細胞が損傷されるのを防ぐことができます。また、損傷を受けてしまった場合であっても、活性酸素によってDNAが広く傷められるのを防ぐし、細胞の炎症が広がるのを防いでくれます。先ほど述べた玄米に含まれるγオリザノールも活性酸素を除去することがわかっています。

⑤DNAが損傷した場合にそれを修復させること・・・DNAが損傷された場合には、DNA修復酵素を働かせて損傷を受けたDNAを修復させることがガン化を防ぐカギになります。そのためには、Mgを中心としたミネラルをバランスよく多く摂ることと、ビタミンをバランスよく多く摂ることが大切です。(ミネラルは酵素の構成成分になるし、補酵素としても働く。ビタミンはずばり補酵素。・・・補酵素とは、酵素が反応の触媒として働く際に必要なもの。) また、酵素の主な原料であるアミノ酸をバランスよく多く摂ることも大切です。

⑥細胞が損傷された場合には、それを修復させること・・・細胞が損傷された場合には、細胞を修復するのに必要なアミノ酸を多く摂ることが必要です。もちろん、ビタミン・ミネラルも必要。先に述べた含流アミノ酸は、それ自体細胞の損傷を防ぎながら、新しい細胞をつくる原料にもなるので、一石二鳥といえるでしょう。

 

以上、予防のためのポイント毎に、生活で出来る工夫を記しました。大切なことを整理すると、毎日の食事でミネラル・ビタミン・良質のアミノ酸をバランス良くかつ十分に摂り続けることが、内部被曝の予防になるし、被曝した後の治癒にもつながります。まごわやさしい食・玄米食はその助けになるでしょう。柑橘類を摂ることも大切です。その上で、必要に応じてサプリメントを利用して、ビタミン・ミネラル(特にMg)・アミノ酸・酵素・フラボノイドを摂取すると良いでしょう。

人類が、甚大な環境汚染により食物による低線量の内部被曝に長期間さらされるのは、初めてのこと。内部被曝によって健康被害が生じるのか生じないのか、結果が出るのはずっと先のことです。何十年か後に、万が一にも障害が出て後悔することがないように、仮に障害が出たとしてもあの時できる限りのことはやったんだからと思えるように、自分の身体は自分で守る意気で、今できる限りのことを一生懸命やって参りましょう。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

放射性物質による内部被曝を考える際に、放射線が体内でどのようにして細胞を侵すかを知っておく必要があります。化学的なことは割愛して簡潔にいうと、現象としては『放射性物質が体内の水分と反応して活性酸素を発生させ、その活性酸素が細胞及びDNAを損傷する。』ことが起こります。これが、放射線による被害の源です。

予防のためのポイントを整理すると、①体内に放射性物質を取り込まないこと ②取り込んでしまった放射性物質を蓄積させないこと、そして早く排出させること ③取り込まれた放射性物質を出来るだけ細胞に作用させないこと ④発生する活性酸素を打ち消すこと ⑤DNAが損傷された場合に、それを修復させる事 ⑥細胞が損傷された場合には、それを修復させること。   この6つに分けられます。

それぞれのポイント毎に、するべき対応を解説します。

①体内に放射性物質を取り込まないこと・・・放射性物質に汚染された食品は、できるだけ口にしないことが大切です。シンプルですがそれに尽きます。

②取り込んでしまった放射性物質を蓄積させないこと、そして早く排出させること・・・これは、内部被曝対策の肝になります。どんなに注意していても、体内に取り込む放射性物質を0にすることは不可能です。その前提に立って対応を考える必要があります。

放射性物質を体内に蓄積させないために何よりも大切なのは、普段の食事でミネラルを十分に摂取することです。例えば全身の筋肉に蓄積しやすい放射性セシウムは、平素からカリウムを多く摂って体内に満たしておけば蓄積を軽減することができます。同様に、甲状腺に蓄積しやすい放射性ヨウ素はヨウ素、骨に蓄積しやすいストロンチウムはカルシウムを多く摂ることで蓄積を軽減することができます。ただし、それらのミネラルだけを極端に多く摂れば良いというものではなく、人体に必要なミネラルをバランス良く、そして多めに摂ることが大切です。

人間に必要なミネラルをバランス良く摂るためには、まめ・ごま・わかめ・やさい・さかな・しいたけ(キノコ)・いもを中心とした和食(まごわやさしい食)が有効です。これらはミネラルだけでなく、ビタミン・アミノ酸も豊富に含んでおり、次に説明する細胞やDNAの損傷を回復させるのにも役立ちます。

この他に、柑橘類は放射性物質を吸着して排出させる成分を含んでいます。玄米はそれ自体で完全食であるといわれている通り、ミネラル・ビタミンを多く含んでいますし、活性酸素を除去するγオリザノールを含んでいます。さらに、放射性物質を吸着して体外へ排出させるフィチンという成分も含んでいます。

食事に注意することで、放射性物質が体内に取り込まれるのを防げるし、取り込まれた放射性物質を早く体外に排出させることができるのです。

つづく

現在一応の落ち着きを保ちつつある福島第一原発。一方で原子炉からの水の流出が続いているとの報道もあります。

仮に原発が完全に冷温停止状態になって、大気中への放射性物質の放出がなくなり、また汚染水の流出が止まったとしても、これまでに既に環境中には大量の放射性物質が放出されており、我々が口にする食品や水からの内部被曝のリスクが消えるわけではありません。

むしろ、大気中や土壌、そして地下水や海水などに広く拡散した放射性物質による食品への影響は、これからが本格的になってくることが懸念されています。

食品から放射性物質が検出された際に、『専門家によると、低レベルであり健康への影響はないとのことです。』や、『専門家によると、標準的な量を毎日食べたとしても、健康への悪影響はないとのことです。』などの報道がなされます。

それは一品目でみれば科学的に根拠があることかも知れません。しかし、これから我々が口にする食品は、ほとんど全てのものが程度の差こそあれ放射性物質に汚染されているのが現状でしょう。我々はそれらを長期間にわたって摂り続けなくてはなりません。つまり、低線量で汚染されて食物同士を組み合わせて、何年にも渡って摂り続けることになるわけです。その間に我々の体内に取り込んでしまう放射性物質の量は、一体どれ位になるのでしょうか?

あたかも健康には全く問題ないかのような報道を信じて、何も対応せずに過ごした場合、10年後・20年後・30年後に、本当に体への影響が発生せずに済むのでしょうか?

私は、『安全である』との言葉を鵜呑みにせず、飲食物からの内部被曝については適切に恐れ、科学的に根拠のある身を守るためにできることを自分で見出し、対応していくことが大切だと思います。

将来ある子ども達や、これから妊娠出産を迎える女性たちのお体を放射線から守るために、毎日の生活でできること、するべきことをご提案させて頂きます。

つづく